オーストラリアで栄養士になる意味とは
オーストラリアで栄養士の資格は、現在非常に注目されています。オーストラリアでは、食生活に関する健康意識が高まっており、食品・栄養素に関する正確な情報を提供する必要性が高まっています。そのため、栄養士は、個人や団体に対して、適切な栄養情報を提供するために、ますます需要が高まっており、海外からも栄養士を目指す留学生が増えていると言われています。今回はそんなオーストラリアで栄養士を目指すことについてご紹介したいと思います。
目次
- 1. オーストラリアの栄養士は2つある
- 2. 栄養士(Dietitian)になるには
- 3. どの大学がどんなプログラムを提供しているか
- 4. 栄養士としてのキャリア
- まとめ | オーストラリアで栄養士を目指そう
1. オーストラリアの栄養士は2つある
まず、オーストラリアでの栄養士資格には「2種類」あり、NutritionistとDietitian(Medical Nutritionist)があります。それぞれの資格の取得方法や職務内容が異なります。
Nutritionist
Nutritionistは、食品、栄養素、食事プラン、栄養療法などの健康に関する知識を持つ専門家です。オーストラリアでは、Nutritionistの資格は、特別な訓練を受けた人や栄養学に関する学位を持った人、または公認の栄養学コースを修了した人が取得できます。一般的に健康促進、予防、および一般的な食品の情報提供に焦点を当てた仕事を行なっています。
Dietitian
一方、Dietitianは、Nutritionistよりも高度な資格で、健康管理や病気予防、治療における栄養的アプローチに特化しています。オーストラリアでは、Dietitianになるためには、公認の栄養学コースを修了し、実務経験を積んだ後、Dietitians Association of Australia(DAA)の登録をする必要があります。Dietitianは、病院、クリニック、リハビリセンター、および診療所などで、医師や看護師などの専門家と協力して、患者の健康状態を改善するための栄養計画を立て、実行することが求められます。
簡単に言えば、Nutritionistは栄養に関する一般的な知識を持ち、健康促進や予防に重点を置く一方、Dietitianは、病気の治療や予防に特化している、と言えます。
それでは、実際にDietitianになるにはどのようなステップを踏めば良いのでしょうか。
2. オーストラリアで栄養士(Dietitian)になるには
オーストラリアでDietitianになるには、まず公式の教育プログラムを受講する必要があります。すなわち、オーストラリア栄養士協会(Dietitians Association of Australia, DAA)が認定する栄養学の学位プログラム(或いは修士課程プログラム)、または同等の学位を修了する必要があります。また、DAAの登録には実習の経験も必須とされており、外部もしくは大学の提供する実習プログラムにも参加が必要です。そして、DAAが認定する栄養士資格試験に合格後、オーストラリア保健管理局(Australian Health Practitioner Regulation Agency, AHPRA)に登録したのち、晴れてDietitianとして正式に認定されます。
それでは、どの大学がどのような栄養士プログラムを提供しているのでしょうか。
3. どこの大学がどんなプログラムを提供しているか
オーストラリアでは様々な大学で栄養士のためのコースが開講されていますが、MASTER課程(修士課程)の場合、栄養学関連の学士号を必要とされる場合があるため、注意が必要です。
以下は、オーストラリアの栄養士資格団体であるDietitian Australia(DA)の認定を受けている大学別の開講コースになります。
クィーンズランド工科大学/Queensland University of Technology
- コース名:Bachelor of Nutrition and Dietetics(Honours)
- 期間:4年間
- 英語力:IELTS7.0(全セクション6.5以上)
ウーロンゴン大学/The University of Wollongong
- コース名:Bachelor of Nutrition & Dietetics(Honours)
- 期間:4年間
- 英語力:IELTS7.0(全セクション6.5以上)
- コース名:Master of Nutrition and Dietetics
- 期間:2年間
- 英語力:IELTS7.0(全セクション6.5以上)
シドニー大学 /The University of Sydney
- コース名:Master of Nutrition and Dietetics
- 期間:2年間
- 英語力:IELTS7.0(全セクション7.0以上)
カーティン大学/Curtin University
- コース名:Bachelor of Nutrition and Dietetics
- 期間:2年間
- 英語力:IELTS7.0(全セクション7.0以上)
グリフィス大学/Griffith University
- コース名:Bachelor of Nutrition and Dietetics
- 期間:4年間
- 英語力:IELTS7.0(全セクション6.5以上)
- コース名:Bachelor of Nutrition and Dietetics(Honours)
- 期間:4年間
- 英語力:IELTS7.0(全セクション6.5以上)
ボンド大学/Bond University
- コース名:Master of Nutrition and Dietetic Practice
- 期間:2年間
- 英語力:IELTS7.0(全セクション6.5以上)
Bachelor of Nutrition and Dieteticsでは主に下記のことを学習します。
- 栄養学に関する基礎知識:栄養素の役割、代謝、および不足症の影響について学びます。
- 食品科学:食品の加工、調理、保存、および品質管理に関する知識を習得します。
- 生理学:消化器官、代謝、および栄養素の吸収に関する知識を深めます。
- 医学:疾患や治療法について学び、特定の疾患に対する栄養的介入について研究します。
- 健康心理学:健康行動の促進について学び、栄養面だけでなく、生活習慣全般に関するア ドバイスをするためのスキルを磨きます。
- 公衆衛生学:公衆衛生の原理、栄養問題の地域差、政策について学びます。
- コミュニケーション技術:栄養士が効果的なコミュニケーションを行うためのスキルを身 につけます。
また修士課程であるMaster of Nutrition and Dieteticsでは、学士課程の学習項目に加えて、下記のようなさらに高度な分野を学びます。
- 栄養治療:様々な疾患に対する栄養的介入について深く学びます。例えば、糖尿病、心臓 病、癌、腎臓病、消化器疾患などが含まれます。
- 栄養評価:栄養状態の評価方法について学びます。例えば、食事履歴の収集、体組成の測 定、血液検査、および栄養不良の評価について研究します。
- 栄養調査:人々の食生活、栄養状態、および健康に関する研究について学びます。調査の 計画、実施、データの解析、および報告について習得します。
- 栄養教育:患者や一般の人々に対する栄養教育の方法について学びます。例えば、栄養的 なメッセージの伝え方、行動変容の促進、およびカウンセリング技術について研究します。
- 研究方法論:研究の計画、実施、および解析方法について学びます。また、研究論文の作 成に必要なスキルを身につけます。
学士・修士課程ともに実習は必須となっており、病院、診療所、介護施設、公衆衛生部門などで行われ、栄養士として実践的なスキルを身につけることができます。
4. 栄養士としてのキャリア
最後に栄養士としての資格を取得した場合、どのような仕事があるのでしょうか。
大きく分けて下記のような職種があります。
- 病院での栄養士: 病院での栄養サポートを提供。患者の栄養状態を評価し、医者と連携することで、病気の治療を促進することができます。
- 健康診断・健康管理サービス企業での栄養士: 健康診断・健康管理サービス企業に勤め、健康管理プログラムの開発や実施、健康アドバイスの提供を行います。
- 食品産業での栄養士: 食品産業で、商品開発やマーケティング、製品調査などに従事。また、食品安全や健康性についての調査や分析も行うことがあります。
- 研究者: 大学や研究機関などで研究を行い、新しい栄養情報や栄養介入に関する知見を発見し、報告することができます。
- 公衆衛生部門での栄養士: 政府機関や地方自治体の公衆衛生部門に勤務。食品の健康性や栄養情報の普及活動、健康格差の是正や健康増進プログラムの策定などに携わります。
また、Dietitian Australia(DA)は世界的にも信用度が高いため、日本に戻ってからも活躍の場は広く、グローバル企業の健康管理部門や、外資系の食品産業などで活躍することも可能です。
まとめ | オーストラリアで栄養士を目指そう
いかがでしたか。オーストラリアで栄養士(Dietitian)になるには、Dietitian Australia(DA)の認定する大学コースを修了する必要がありますが、医療分野では今後も需要の拡大する職種と言われており、日本でも活躍の場はますます広がると思われます。ご関心のある方は、ぜひオーストラリアでチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
ご相談があればぜひ一度ご相談ください。