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VOICE留学体験記

世界トップレベルの環境学を学び、研究者の道へ

オーストラリアの大学へ進学しようと思ったのはなぜですか。

第一に日本ではなく海外の大学院に進むことを決めたのは新しい環境に身を置きたいと思ったからです。今までの人生を振り返ったときに、慣れ親しんだ環境に留まっている自分より、新たな環境で成功や失敗を通して成長している自分の方が生き生きとしていると気がつきました。安定より不安定を楽しめる私にとって海外に出る方がより自分らしさを発揮できると思いました。

多くの国がある中でオーストラリア、特にブリスベンを選んだ理由は主に2つあります。一つ目はブリスベンの気候が私自身に合っていると思ったからです。寒さが苦手な私にとって一年を通して比較的温暖なブリスベンの気候はとても魅力的で、実際に一年半以上暮らした中で大きく体調を崩すこともなく、自分に合った気候は日々のパフォーマンスの向上に直結すると感じています。

二つ目の理由は5年ほど前ブリスベンに一ヶ月ほど滞在した際、仕事・私生活ともにメリハリを持って楽しむブリスベンの人々のライフスタイルに共感したからです。現在リサーチアシスタントとして働いている環境を見ても、多くの人が研究を心から楽しむだけでなく、私生活でも各々好きなことを全力で楽しんでいます。私自身の大学院生活を振り返ると、修士コースの勉強、研究、大好きなスポーツをバランスよく両立し、その中でたくさんの人に出会い、とても充実した日々を過ごせたと実感しています。

UQを進学先として選んだ理由をお聞かせください。

UQは環境学の分野において、オーストラリア内だけでなく世界的に見てもトップクラスで、よりレベルの高い学びを得られると考えたからです。授業を通して出会った教授の方々の経歴もかなり濃厚で、アカデミックな領域だけでなくさまざまな企業セクターでの経験を持った方も数多くいます。教授陣のみならず、チューターの方々や学生もさまざまなバックグラウンドを持った人が数えきれないほど在籍しています。過去に学んだ分野、職歴、文化、考え方、生活スタイル等、一人一人異なる中で環境学を学んだことによって、「環境問題」というとても大きな人類の課題をさまざまな角度から見つめ、議論し、理解を深めることができました。

専攻とその専攻を選んだ理由はなんですか?

環境マネジメント学を専攻しました。この専攻を選んだ理由は、純粋に「環境学」という学問に中学生の頃から興味があったから、そして人間だけではなくその他の生き物も含めて地球全体と多角的に関わる学問を学びたいと思ったからです。

いい意味でも悪い意味でも環境マネジメント学は幅広い学問です。そのため2年間の大学院コース中に特に興味のあるトピックをリストアップして、それらの分野で活躍している教授にメールを送ったり、直接声をかけたりしました。自分がその分野に本当に興味があるか知るために少し研究に参加させて欲しいとお願いしたところどの教授も快く受け入れてくださいました。最終的に自分が最も夢中になれる分野を見つけることができ、現在は環境汚染化学物質の環境と人体への影響に焦点を当てた研究をしています。「地球全体と多角的に関わる学問」という思いを実現できる研究に出会えて、環境マネジメント学を専攻してよかったと感じています。

授業の内容、クラスの人数、国籍などわかる範囲で教えてください。

授業は気候変動、生物多様性保護、エネルギーマネジメント、環境影響評価など、いわゆる環境学に含まれる幅広い内容を網羅したコースでした。加えて特に興味のある分野があれば別の専攻のコースも履修できます。私の場合は Environmental Health Risks – Chemical Hazards という環境マネジメント学コース外の授業をとってより自分の興味をひく内容を学ことができました。

クラスの人数は授業によって本当にバラバラで、100人近い学生が履修していた授業もあれば10人以下の授業もありました。学生の国籍は非常に多様です。中国とインド出身の学生の割合が比較的多い印象ですが、それ以外にもヨーロッパ各国、カナダ、アメリカ、ペルー、コロンビアなど南北アメリカ、イランやトルコ、東南アジア出身の学生も数多くいます。この多様性はオーストラリアの大学院に行かなければ経験できなかったとても貴重なものだと思います。

毎日のスケジュールを教えてください。

日々のスケジュールは学期によってかなり異なりました。私の場合、最初の2学期は基本的に授業やチュートリアルセッションが毎日あり、空き時間は授業の予習や復習、課題などに費やしていました。3学期目は通常の3教科にプラスしてリサーチプロジェクトのコースを取っていたので、通常授業が1教科分減った代わりにリサーチに多くの時間を費やしていました。最終学期は企業で実際に働く体験ができるIndustry Placement というコースを履修していたので週3日ほどは企業で働き、それ以外の曜日はリサーチアシスタントとして働いていました。最終学期は大学院生活というよりは Full-time で働いているようなイメージの生活を送っていたと思います。

どの学期中も1日の授業や仕事が終わった後は趣味のランニングをしにランニングクラブに参加したり、ドッジボールチームで身体を動かしたり、大学のプールで泳いだり、友達と一緒にご飯を作って食べたり、彼らと一緒に映画やドラマを観たりしていました。

大学の授業以外ではアルバイトや課外活動をしましたか?

リサーチアシスタントとして働いていました。2021/2022年の夏学期中のUQ Summer Research Program というプログラムに参加をした際に環境汚染物質に焦点を当てた研究にとても興味を持ちました。Program 終了後もプロジェクトに参加し続けても良いかスーパーバイザーに尋ねたところ、快く受け入れてくれ、しばらくはリサーチ学生として研究に参加していました。半年くらいした後にそれまでの研究に対する取り組みを評価してもらえて、正式にリサーチアシスタントとして採用してもらうことができました。

研究プロジェクトの中で様々なリサーチスキルを学びながらそれが収入源になっていたので、学びの面でも経済的な面でもとても良い機会に恵まれたと思います。興味を持ったことをより深める機会を自ら探しに行って適切な人に直接声をかけたことがよかったと思います。自分に必要な環境を求めて行動を起こすことの重要性を実感しました。

UQが他の大学に比べて特徴的だと思う点があれば教えてください。

自分が専攻していたコースの宣伝になってしまうのですが、環境学の分野ではUQはオーストラリアで最もレベルが高いと思います。UQ の中には環境学に関わる研究機関やグループがいくつも存在しますが、どの組織も世界的にトップレベルで活躍する方々の集団です。また教授のコネクションも多様で、ゲストレクチャーとして世界で活躍する方々が授業に来てくれる機会も多くあります。例えば環境問題に興味がある人なら誰もが知っている「 IPCC 」の気候変動に関するレポート作成の主要メンバーの教授がレクチャーをしに来てくださったこともありました。

留学中、苦労したことは何ですか?

いつも応援してサポートしてくれる家族や友人に恵まれたおかげで私自身も全力で留学を楽しむことができました。そのため特段苦労したことはパッと思い浮かばないというのが正直なところです。

唯一本当に自分が興味のある分野を見極めることには少し時間がかかりました。先に述べたように環境学という大きな枠組みの中にいくつか興味のある分野があったのもあり、大学院時代、そしてその先も含めて突き詰めたい分野を見つける過程には多くの時間を費やしました。教授やPhDの学生、友人など様々な立場の人に意見を聞いたり、実際にリサーチプロジェクトに参加したりする中でようやく自分が将来長く学び、研究したいと思うものを見つけることができました。

一番成長したと思う事は何ですか?またその理由も教えてください。

以前より人に素直に頼るようになったのは成長した部分です。留学以前も周りの人に助けられる場面は多々ありましたが、日本にいた頃、特に学部生の頃は自分が少し無理をして頑張ればどうにかなることもありました。

オーストラリアの大学院では多くのレポート課題やグループワークが出されます。もちろん1人で取り組む時間も大切ですが、友人たちとディスカッションをする中で良いアイデアを思いついたり、相談することで行き詰まっていたところから抜け出せたりすることがよくありました。一つひとつの課題の内容が深く、課題数も多い中でより効率よくタスクをこなし、より良い学びを得るために、素直に友人に相談したりアドバイスをもらったりすることは非常に大事だったと感じます。

就職活動を経験されている場合は、就職活動について教えてください。

就職活動はせず、大学院卒業後は博士課程に進学します。

今後の目標、ビジョンなどを教えてください。

2023年10月からUQ で博士課程に進みます。今後3年半はブリスベンを拠点に研究を突き詰める予定です。博士課程では環境汚染物質と脳神経系の病気の関係を探るプロジェクトを進めることになりました。博士課程の後のビジョンはまだはっきりとは決まっていませんが、自分自身研究がとても好きだということに気がつけたのでアカデミアもしくは研究者としての道を進みたいと思っています。 どのような道を進むかに関わらず、ここまで支えてれた家族や友人、その他多くの人への感謝の気持ちは決して忘れることなく、少しでも恩返しができるよう一歩ずつ成長していきたいと思っています。


今回紹介したクイーンズランド大学はQS世界ランキング2024で43位にランクインした、オーストラリア屈指の名門大学です。オーストラリアを代表する大学連合 “Group of Eight”の1校であり、国内外で高い評価を得ています。特に、ホスピタリティ&ツーリズム、スポーツサイエンス、環境学ななどは世界トップレベルです。研究を重視しており、充実した設備で学べるのでサイエンス系の学部に進学されたい方にも大変人気があります。

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