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VOICE留学体験記

看護師として勤務後、留学の夢を諦めきれず、渡豪。国際保健政策の道を目指し、名門ANUへ進学。

留学の動機と留学先を選んだ理由を教えてください。

海外の医療現場で働きたい希望と、英語力を身に付けるという目標を持ち2016年4月よりワーキングホリデービザにて渡豪 。シドニーでアシスタントナースの資格取得後、ニューキャッスルにてアシスタントナースとして6ヶ月間働きました。ワーキングホリデー後の進路を考えずに渡豪しましたが、今後のキャリア形成に繋がることをしたいと考え、大学で修士号を取得することを決意しました。オーストラリアを留学先に選んだ理由は、ワーキングホリデーにて1年間現地で生活し、暮らしやすい国であると思ったこと、また、その国で築いた交友関係を保ちたいという理由から他の国は留学先として考慮に入れず、オーストラリアに絞って留学先を検討しました。
オーストラリア国立大学を選んだ理由は、「国際関係学」を就学するのに一番適している環境であること、その後のキャリア形成に有利になると考えたからです。研究分野で成功を収めた学者を多く排出しており、授業の質が良いと聞いていました。また、行政機関が集結しているキャンベラという立地から、国際情勢や政治等、得られる情報量や人脈が他の都市に比べて得やすいと考え、この大学を選びました。

参加に向けて不安だったことはありますか?また出発前にどのような準備をしましたか?

参加に向けて不安だったことは英語力です。ワーキングホリデーにてオーストラリアで1年間暮らし、仕事もしていましたが、学問で使用する英語と日常生活の英語は異なります。日常会話ができても、大学院レベルの論文を読み書きする英語力は不足していました。学術的な英語に関しては大学院開始前に通ったアクセスイングリッシュコースがすごく役立ったと思います。
また、修士での専攻分野と自分が築いてきたキャリアが異なるため、専攻分野の知識量が足りず、授業について行くことができないのではないかと大きな不安がありました。その点に関しては、本を読むなど自主勉強にて、授業開始前に出来るだけの知識を蓄えました。
実際の生活面に関しては、住居が留学前に決定せず不安だったことが挙げられます。大学寮は競争率が高く、家賃も比較的高いため住居の候補には入れませんでした。そのため、キャンベラのYHA(安宿)に3日程滞在する予約を入れてから渡豪しました。キャンベラ到着日にはあらゆる物件広告をネットで探し、物件のオーナーと連絡を取り、運良く到着時には良い物件が見つかりましたが、住居が確定しないままの渡豪は不安が大きかったです。

留学先はどのような大学でしたか?

勉強する環境はとても整っていると思います。大きな図書館が校内に5個あり、24時間空いている図書館もあるので好きな時に好きなだけ勉強ができます。本の蔵書数も多いですし、オーストラリア国立大学が提携している論文検索のサイト数も莫大な量になるので資料の検索には全く困らないです。その他、ANU主催の多種多様な無料セミナーがあり、興味がある分野を受講することができます。講演者は大学教授だけではなく、NGO団体や研究者など、様々な知識人が各々専門分野のセミナーを開催しているため、自主的に勉強をする学生にとっては知識を広げることができる、すごく良い環境だと思います。 また、大学構内は緑が多く、広大な敷地を有しているため勉強の合間でリラックスすることができます。大学サークルやボランティア団体が多く存在しているため、勉強以外の活動も充実することができると思います。

授業内容やクラスメイトについて教えてください。

国際関係学の修士は1学期24単位を取得するコースになっています。1年目はほぼ選択科目はなく、指定された科目の授業を取ります。授業によっても異なりますが、1クラス大体25〜30名程の学生が授業を受講します。少人数での授業であるため、生徒間でのディスカッションが活発に行われ、教授とも密にコンタクトを取ることができます。また、国際関係学を専攻している生徒だけでなく、他学科の生徒も同じ授業を受けるため、様々なバックグラウンドを持つ学生から知識を得ることができる授業体系となっています。

毎日のスケジュールについて教えてください。(授業や課題に費やす時間など)

週3日、2時間/日の固定の授業があり、その他不定期でコースワークがあります。授業時間は日本の大学に比べると圧倒的に少ないですが、その分自主勉強の時間を長く取る必要があります。
授業で予習として読まなければいけない論文が最低3本あるため、最低10本/週の論文を予習として読んでいます。また、1500〜4000字の課題を大体2週間に1本書く必要があるため、授業の予習・復習にプラスして課題を書くための論文を読み、ひたすら英文を書く。英語力や専門分野の知識量によって必要勉強時間に個人差はありますが、私の場合は平日は論文読破、課題をこなすことでいっぱいいっぱいでした。

クラブ活動やアルバイトなど課題活動はされましたか?

学業中心の生活を送りたかったため、今学期はクラブ活動、アルバイト等はしませんでした。初学期が終了し授業や課題の容量を得ることができたため、次学期はアルバイトやボランティア活動等を行おうと考えています。

滞在先(ホームステイ、寮、アパートなど)はどのようなところでしたか?

flatmate というオーストラリアの物件情報サイトで現在の家を見つけました。大学からはバスで10分程の郊外に住んでいます。一軒家で私を含め4人で住んでおり、私以外は全員現地のオーストラリア人です。6ヶ月以上住んでいることもあり、家族のように仲良く暮らしています。夕食をシェアしたり、英語を教えてもらうなど、シェアメイトには生活面、学業面で多く助けてもらっています。
キャンベラの郊外は地区によりますが治安が良く、自然豊かな場所が多いです。カンガルーやフクロウが時折出没したり、牧場が近くにあったりとリラックスできる環境がすぐ近くにあります。

エリア(街の様子など)はどのようなところでしたか?

キャンベラは行政機関と大学が主要であるため商業はあまり発展していません。大型ショッピングモールが街の中心にありますが、その中心街も「閑散としている」というのが率直な感想です。華やかな街ではないので、大学生が描くような夜遊びやクラブには向いていない街ですが、その分、中心街でも治安は比較的良いです。徐々に近代的な建物などが立ち並ぶ地区が出現しているので、キャンベラはこれからも発展する街ではあると思います。
中心街からバスで10分程の場所に国会議事堂や美術館があるのでちょっとした観光もできますし、大きな湖の周囲にはサイクリングロードもあるので気分転換にサイクリングや散歩を楽しむことができます。また、公園がいたるところにあり、無料のバーベキュー設備も設置されていることが多いので、簡単にバーベキューを楽しめます。 キャンベラは歓楽街を楽しむというよりは、アウトドアを楽しむ街かなと思います。

生活費はどのくらいの費用がかかりましたか?

家賃週:$200/週(光熱費、水道代、wi-fi込み)
バス代(学割あり): $20/週
食費:$50/週 (自炊した場合)
携帯代金:$30/月
別途交際費

1ヶ月10万円は最低でも必要です。 日本に比べ物価は高いですし、外食も高額となるため自炊は確実に節約に繋がります。

楽しかったこと・印象的な出来事は何ですか?

様々なバックグラウンドのクラスメイトがいるため、様々な価値観を共有できることが一番楽しいです。いつも刺激をもらえますし、新しい発見がすごく多い環境です。最近の一番印象的な出来事は、クラスメイトとバーベキューに行った際、食材について議論したことです。私のような何でも食べる人から、宗教上の理由でベジタリアンの友達など、多種多様な文化を持つ人が参加したため、食材調達に苦労しました。スーパーマーケットの食材売り場に40分程滞在して議論を重ね、ようやく参加者全員が納得する食材を購入しバーベキューを行うこととなりました。バーベキューの食材で本気で議論をしたことがなかったので、とても貴重な体験となりました。様々なバックグラウンドの友達を持つことで、多様性とはどういうことか、生活する上でも考えさせられます。そのような環境に身を置くことができることが、有意義なことだと思います。

苦労したことは何ですか?

様々な国籍のクラスメイトがいるため、英語が時々わからないことがあります。どうしても英語の発音や言い回しが母国語によって左右されるため、発音の違いに慣れない時はコミュニケーションに苦労しました。

今回の留学経験を今後どのように活かしていこうと思いますか?(将来のキャリア・進路など)

NGOやNPOが日本よりも活動的であることや、就労条件、福利厚生が充実していることから、修士号取得後はオーストラリアで働くことを考えています。また、将来的に国際機関で働くことを見据えキャリア形成をしたいと考えています。

ICCのサポートで役立ったことを教えてください。

願書提出、大学教育担当者との架け橋になっていただけたことが一番助かりました。メールでのやり取りが多い中、密に連絡を取っていただけたのでありがたかったです。また、大学出願に悩んでいる際、ICCの担当者さんが背中を押してくれ、適切なアドバイスをくれたため出願に踏み切れたと思います。

これから留学される方にアドバイスをお願いします。

大変なこともあると思いますが、留学を実現することができたら有意義なものになると思います。留学する際に「自分の行きたい大学、専攻」を優先させることは一番大切だと思いますが、それと並行して環境面も考慮することが重要です。人それぞれ、どの土地が肌に合うかはわかりませんが、海外に移住すると「思ったよりも治安が悪かった」「聞いていた街と住んでみたら違う」ことも多々あります。留学前の学校見学が難しい場合、その土地の風土、人口、治安、天候等、様々な情報をできるだけ得てからその土地、大学を選択することが、実りのある留学、この大学を選んで良かったなぁ、と思えるような留学になると思います。
また、大学側はIELTS overall 6.5を最低基準に設定していますが、授業を主体的に受ける場合、この点数はかなり低いです。同じ土俵に立つ生徒は英語が母国語であったり、留学生でも英語力が高い生徒が数多くいます。そのような生徒とディスカッションをしなければならない環境になるため、IELTSで最低基準を満たしたとしても、本番の授業に向けできるだけ留学前に英語力を高めていく必要があると思います。