IBP留学コラム

イギリス留学を経て現地で起業〜ファッションディレクター佐藤丈春さん〜
イギリス留学を経て現地で起業〜ファッションディレクター佐藤丈春さん〜

IBPビジネス留学の研修先の一つであるイギリス・ロンドンのウェストミンスター大学にて、現地で活躍する日本人・佐藤丈春さんの講演がありました。

大手アパレル企業、ファッション誌の出版社で働いた後、29歳でイギリスに留学した佐藤さん。その後、ロンドンでファッションを中心とした広告ビジュアル制作を主な事業とする「Také Sato Ltd」を立ち上げます。

国境をもろともせずグローバルに活躍する佐藤さんの講演内容をレポートします。

プロフィール

Courtesy of Huntsman

佐藤丈春 -Také Sato
ファッションディレクター、スタイリスト
英国王立芸術院卒業(Royal College of Art)
ライフスタイル情報誌「モノクル」に創刊から7年間ファッションエディター・ディレクターとしてかかわり、2014年春に独立。
現在は、英国・欧米、日本のファッションブランドの広告やカタログのスタイリング・アートディレクションを中心に手がけている。

ダンスとDJに没頭した学生時代

ファッションは15歳の時から好きでした。
当時、日本で紹介されていなかったGAPやラルフローレンなどの欧米のブランドに自然に興味をもっていました。高校の時、シアトルに3週間留学しました。今思えば、この3週間が世界で仕事をする最初のきっかけだったかもしれません。そこで、日本で習っている英語がまったく通用しないことにも気づきました(笑) 大学ではDJやダンスに没頭していました。専攻はファッションと関係のない法学部政治学科です。

もちろん、ファッションにはかわらず興味をもっていましたが、打ち込んだのはストリート系のダンスとDJです。でも、その頃の仲間が後々に自分の人生のターニングポイントに影響を与えてくれたりもします。

なんでもそうですが、必死に何かを追い求めているときには、その道で成功を得なかったとしても後々の人生で得るものが大きいですね。

大手アパレルに就職し、必死で働いた5年間

僕が学生のときはまさに就職氷河期だったのですが、結果的には大手アパレルに就職しました。興味のある業界だったので学べることは多かったのですが、「仕事が合わない」と思い悩む時期が続きました。
そんなある日、新聞に宝島社の求人広告を見つけました。女性誌・男性誌の編集者募集の記事です。そこには、未経験でも応募可能と書いてありました。 もともと興味のあったファッション雑誌ですが、宝島社への転職をきっかけに自分が作る側に立つことができました。
「SMART」という雑誌に配属され、編集者として約5年間必死で働きました。終電で帰れればラッキーのような生活でしたね。ファッション業界のこと、出版のこと等々、知らなかったことを一気に経験することができました。また、日本のトップクラスのアーティスト、モデル、ファッションリーダーたちとの交流もこの仕事を通じてもつことができました。

29歳でイギリスへのファッション留学を決意

仕事はおもしろかったのですが、方向性のズレを感じ始めることが徐々に増えてきました。
出版業界、メディア業界への転職も考えたのですが、結局、同じような壁にあたるのでは?と考えていました。

ちょうどその頃「イギリスのメディアっておもしろいなー」と感じていました。日本のメディアに比べ、自由な発想で制約もあまりなく創りだされている印象がありました。
ただ、永住権も就労ビザも持たない外国人が英国で簡単に働けるわけではありません。
そこで、英国で働くための足がかりとして留学を決心しました。当時29才でした。いつか海外に住み、外から日本を見てみたいとも思っていました。
留学先はRoyal College of Art(英国王立芸術院)でした。

Tyler Brûléと出会い、Monocle(モノクル)創刊に携わる

日本を代表するセレクトショップ「ユナイテッドアローズ」の創業者の一人、栗野宏文さんを通じ、ジャーナリストとして知られたTyler Brûléを紹介されました。Wallpaperの創刊者であった彼から、そのときにMonocle(モノクル)を創刊するという話を聞きました。わたしは修士の2年生ではありましたが、Monocleのオープニングメンバーに加わることになりました。 Monocle立ち上げ時のスタッフは9人。(現在は100人ぐらい)ファッション担当は自分だけでした。そのため、卒論と仕事の掛け持ちから仕事はスタートしました。 ロンドンはもちろんですが、取材のためミラノ、パリなどのファッションショーを駆けまわる生活ですね。
Tyler BrûléはMonocleの創業者であり直属の上司でした。彼からは出版に限らずビジネスに対する方法や考え方を学ぶことができ、非常に貴重な経験でした。Monocleでの仕事は順調だったのですが、独立したいと考えるようになっていました。

2014年春、ロンドンで独立

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Courtesy of Huntsman

2014年、英国・欧州ファッションブランドの広告・カタログのスタイリングやアートディレクションを事業の軸とするTaké Sato Ltd.を立ち上げました。ロンドンが拠点ですが、クライアントは英国の他、ヨーロッパ、日本、アジア、アメリカ、中東、オーストラリア等に広がります。 ファッションスタイリスト・ファッションクリエーターとして顧客に合わせたテーマ作りをしながら撮影、モデルの選択、ウェブや紙媒体を通してのなど全てを含めたパッケージングを提供しています。 一番大切にしているのは、ブランドごとのストーリー作りです。例えば、Savile Rowにある高級紳士服HUNTSMANの時には、プロのモデルではなく実際にHUNTSMANの顧客をモデルに使ったりしながら、他の会社とは一味違うブランドをクリエートしてきました。

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Courtesy of Huntsman

留学を考える方々へのアドバイス「馬鹿を真剣にやる。」

やりたい!と思うことがあったら、とことんやってみることをお勧めます。
他人が馬鹿げていると思っていることでさえです。むしろ、バカを真剣にやるぐらいが好きです。たとえですが、昔、サッポロビールのCMで豊川悦司と山崎努が温泉宿で卓球を必死にやっているのがありましたよね。たとえるのなら、ああいうことです。 それにあのクリエイティブ、良かったですね。

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