「好きなことを仕事にする」スポーツビジネスで社長に就任 大澤能弘さん
留学をきっかけにグローバルなキャリアを掴んだビジネスマンへのインタビューを積極的に行っています。今回は、(株)OSM Internationalの代表を務めている大澤能弘さんにインタビューする機会をいただきました。
大澤さんは学生時代にIBPビジネス留学を経験しており、現在はスポーツマーケティングの分野の第一線で活躍されています。
留学から社長就任に至るまでのストーリーを伺いました。
■プロフィール
大澤能弘
1972年生まれ。神奈川県藤沢市出身。 大学在学中にIBPビジネス留学の第12期としてアメリカワシントン州ベルビューコミュニティーカレッジに留学。 帰国後に商社に就職し、食品ビジネスに従事し、欧米・アジアからの食肉買いつけと日本の顧客への営業を担当。 8年間の勤務後、脱サラして再度アメリカに渡り、現地で留学・インターンビジネスの立ち上げに参画。現地でふとしたことからスポーツビジネスに携わるきっかけを掴み、「好きなことを仕事にしたい。」と一念発起し、(株)OSM Internationalに入社、2011年に代表取締役に就任。
Q大澤さんは大学生のときにIBPビジネス留学を経験していますが、留学の経緯を教えてください。
とにかく海外に出て経験値を積みたい、もっと成長したいという思いがあり、高校時代から漠然と留学したいと思っていました。学生のときにIBPビジネス留学プログラムのポスターを見つけ、迷わず応募しました。
初めての海外渡航がいきなりの留学。しかも1年間のうちにインターンシップまで経験するIBPプログラムでしたが、その後の人生に大きな影響を与える貴重な経験となりました。
素晴らしいホストファミリーに恵まれたことが非常に大きかったです。老夫婦だったのですが、私を息子のように可愛がってくれ、家族の一員として扱ってくれました。彼らを通してアメリカの文化、日常生活、冠婚葬祭も経験することができました。
一緒に渡航したIBP12期のメンバーは優秀な方が多く、いろいろなことに積極的にチャレンジされていて、私も大きな刺激を受けました。一緒に徹夜で勉強したり、パーティーしたり、旅行したり、様々な経験を共有しました。彼らのおかげで自分も負けてられないと切磋琢磨できました。
Qインターンシップはどのようなところで働きましたか?
インターンシップはIBPプログラムの肝でした。私はアウトドアグッズを扱う貿易会社でインターンをしました。商品を日本に輸出していたため、通訳業務や日本のマーケティングのお手伝い、貿易書類の作成など、実践的で学校で学ぶよりも多くのことを勉強しました。 小さな会社でも世界を相手に大きな仕事ができることも痛感しました。 後述しますが、ここで私の人生の方向性を決める人物にも出逢いました。
Q学校とインターンの他、留学で夢中になったことはありましたか?
アメリカのプロスポーツに魅了されました。当時はメジャーリーグは選手会がストを行っており、私が渡航した直後に解除されてホッとしたことを今でも覚えています。当時のキングドームにマリナーズ戦を毎週末のように通いました。NBAやNFLも観に行きました。その年はちょうど野茂投手がメジャーデビューを飾り、トルネード旋風を巻き起こしました。このときは日本人として誇りに思いました。
最初は言葉が通じず、いろいろな苦労がありましたが、それを凌駕するほど毎日が本当に楽しくて仕方ありませんでした。あっという間に一年が過ぎました。
Q代表取締役に就任するまでのキャリアを教えてください
元々独立志向でした。就職先に商社を選んだのは独り立ちするのに一番近道ではないかと思ったこと、そして頻繁に海外へ行けるのではないかという理由でした。
脱サラしてアメリカで留学会社の立ち上げに参画し、最終的に現地法人の社長となりました。その後、縁あってアメリカでスポーツビジネス第一人者の日本人の方(弊社のオーナー)と出逢い、日本での起業のお話がありました。
悩み抜いた末にそのビジネスをお手伝いさせていただくことになりました。決め手は「自分が本当にやりたいことを仕事にする。」でした。大好きな野球、スポーツでメシを食っていけるなら、どんなことでも耐えられるだろうと。2011年に代表に就任し、現在に至ります。
Q「スポーツでメシを食っていく」というと、どのような事業内容なのでしょうか?
弊社の業態は日本では珍しい「スポーツマーケティング」です。顧客は巨人、阪神などのプロ野球12球団やJリーグ、各球場などです。業務内容を一言で説明するのはなかなか難しいのですが、マーチャンダイジングをベースとしたスポーツチームのマーケティングパートナーといった表現になります。もう少し噛み砕くとチームグッズの企画・開発・販売やそれを使ったイベント、プロモーションなどをチームへ提案しています。
要はスポーツビジネス界の総合商社のような会社です。具体的には下記のような事業を行っています。
<キャラクターコラボ事業>
プロ野球やJリーグなどのスポーツチームとディズニー、リラックマ、ドラえもんなどのキャラクターとのコラボレーショングッズの企画、開発、販売。<イベント・プロモーショングッズ事業>
選手ボブルヘッド人形(首振り人形)やノベルティ、イベント企画を踏まえてのグッズ制作、アメリカスポーツで流行りのグッズ紹介、ファンクラブグッズの共同企画等。<’47事業>
MLBのオフィシャルキャップブランドである「’47」の日本代理店業。
プロ野球やJリーグでのオリジナルキャップの企画、販売。
その他にも、アメリカ・マイナーリーグ球団への出資、アメリカ球団でのインターンプログラム、世界少年野球大会の日本代表チームサポートなどスポーツに関連する様々な事業を行っております。
Q大澤さんの留学経験は、今のキャリアに繋がっていますか?
はい。 IBPプログラムでのインターンシップ先の社長が今でも僕のロールモデルとなっており、大きな影響を受けています。会社は小さいながらも大きな仕事をしており、何よりも感銘を受けたのは社長が好きなことを仕事にして楽しく働いていたことでした。
彼は自分の趣味であるアウトドアのグッズを大好きな日本に向けて輸出・販売をしていました。彼の影響で、いつか自分の会社を持って、小さくとも存在感を持ち、楽しんで仕事をしたいなと強く思い、それが目標となりました。
そのためにはまずは自分でビジネスやプロジェクトを立ち上げられるように勉強しようと考え、貿易にも興味があったので、日本の商社に就職しました。そこで売り買いと物流も行い、プロジェクトの立ち上げを行い、アメリカ、ヨーロッパ、アジアを巡りながら様々な経験を積ませてもらいました。
Qその後、アメリカでの事業立ち上げに参画することになった経緯は?
8年間サラリーマン生活をして、そろそろ次のことをと考えた時に、知り合いから留学・インターンシップ事業の立ち上げの話がきたのです。
留学以来もう一度アメリカでチャレンジしたいという気持ちと、ゼロからの事業スタートを経験できるということで、このプロジェクトに参画しました。 事業はうまくいったのですが、最初の目標であった「好きなことを仕事をする」を実現するためにさらに考え続けました。自分は何がやりたいのか?と。僕はずっと野球をやっていたのですが、野球、そしてスポーツが大好きで、だったらそれを仕事にしたいとあるとき気がついたんです。実はその想いにつながる人物にたまたま出会っていたんですね。その人のつながりで今のスポーツマーケティングの世界に入ることができました。
今は、これまでのキャリアとスキル、そして人脈を使って日本のスポーツビジネスを盛り上げることが大きな目標です。
Q留学でも仕事でも、何かを成功させるために大澤さんが大事にしていることは何ですか?
シンプルですが、私の経験ではこの5つの点がキーだと思います。
1、目標、ビジョンを設定すること
何のために留学するのか、何のために起業するのか、自分がやりたいことは何なのか、どうなりたいのか、目標、ビジョンを設定することが重要です。それをとことん考えることが必要です。しかし、そう簡単には答えは出ないと思います。それでも考え続けま す。考え続けると、ふとしたことから答えが出てきます。
2、一歩踏み出してみること
目標が決まれば、それに向かって行動することです。一歩踏み出してみるのです。留学経験があるというと、よく人からは「いいなー」と言われますが、だったらあなたも行けばいいじゃないですかと思います。本気で行きたいのであれば、何か一歩踏み出して、行動するはずです。そういった勇気が必要です。
3、縁を大切にすること
私が仕事を変える時、きっかけとなったのはすべて人との縁です。様々な方々に出逢い、お世話になり、助けられています。そういったひとつひとつの縁を大切にしていると、それが大きなことにつながっていきます。
4、運を味方にすること
自分はすごく運がいい人間だと思っています。何かしたい、しようとした時にそういった人に出会っています。実はチャンスやヒントはそこら中にあって、それを必要なときに気づくかどうか、そういったアンテナを張っているかどうかによります。そこに気づくか気づかないかは紙一重です。ある意味「運」ですが、そういった思いが強ければ強いほど運は味方してくれます。
5、好きなことを見つけて本気で進むこと
精神論になってしまいますが、やはり必死に、本気になるとそれだけ成功の確率は高まります。そして「好きこそものの上手なれ」と言いますが、好きなことに対してであれば本気になれるはずです。そして上手くできるようになるはずです。そういった気持ちで留学、起業、自分のキャリアに挑戦すれば活路は見えてきます