AIの先に描く世界 ーBlock Chain で描く理想の世界とはー
IBP ビジネス留学プログラム サンフランシスコ州立大学コース3期生の足立あきほです。
サンフランシスコ1期生の渡辺創太さんに、ブロックチェーンについての基本情報や渡辺さん自身がブロックチェーンに着目したきっかけ、Visionなどをお聞きしました。
今回は、その対談内容をまとめたものをみなさんにお伝えしたいと思います。
みなさんは、「ブロックチェーン」という言葉を聞いたことがありますか?
ビットコインが人気だった時、仮想通貨と一緒によく謳われていたシステムなので、聞いたことがある方もいるかもしれません。“ブロックチェーン=仮想通貨を支えるためのシステム“ という印象をお持ちの方もいるかもしれませんが、実はそれだけではないことに着目したIBP生がいました。
彼の名は渡辺創太さん。IBP San Franciscoの1期生として、プログラムのファンデーションを支えてくれた学生の一人です。
IBP ビジネス留学プログラム サンフランシスコ州立大学コース1期生(2017年5月〜2018年5月)。現在、慶應義塾大学 4年生。留学前からBlock Chain に着目し、留学中は国際ビジネスを勉強したのち、かねてから希望していたブロックチェーンのスタートアップ企業で見事インターンシップを獲得。直属の上司はForbes 30 Under30の一人に選ばれるほどの逸材で、インターンシップ中は国際ビジネスのスピードを身をもって実感。帰国後、留学中にインターンシップをしていた企業からのオファーで活動しながら、自身も起業しブロックチェーンの可能性を追い求めている。
ブロックチェーンに着目したきっかけは?
彼は、学生の時に旅をしたインドで、物乞いをしてくる子供たちや、足や手がなく瀕死の状態で道路に放置されている人を見たとき、自分の知らない世界には救いを求めている人がたくさんいることにショックを受けました。そこから社会貢献へ強い興味を持つようになりますが、慈善団体を作り自分の手で支援できたとしても目の前の40人ほど。世界中で救いを求めている人々を救うことは到底できないことに気づき、彼はテクノロジーを使って世界を変えたいと思い始めます。
最初に思いついたテクノロジーはAIでした。機械学習で住みやすい世界を作れると思い立ったそうですが、AIは情報量が全て。しかし、質の良い情報を大量に集めようとすると、GoogleやAppleなどの巨大企業には到底叶いません。また、一部の既得権益が社会をコントロールするのではなく、分散化された力が社会をコントロールすることに理想を感じている渡辺さんは、ブロックチェーンに着目していくことになります。
渡辺さんが、元々ブロックチェーンの概念を提唱した、サトシ・ナカモトの論文を分析してみると、「Transaction」と「Trust」という言葉はたくさん出てきますが、「Money」や「Finance」という言葉はほとんど出てこないのだそうです。
パブリックブロックチェーンは、システムの性質上すべての取引の履歴が公開され、改ざんが非常に困難である点、また生成されたハッシュ値から元のデータを読み取ることができない不可逆性があるという点から、金融に非常に有益に応用されているというだけで、実は金融に特化したテクノロジーではない、ということを話してくれました。
「今世界では、力を持った人や機関にお金が集まるようになっています。それでは、生まれた環境によって起こる格差を変えることができない。肌の色、人種、生まれた場所、性別、親の年収などにかかわらず誰もが自分の可能性を追求できる社会を創りたい。そのためには、中央既得権益を分散させる必要があると思うようになりました。」
渡辺君が見つけたこの写真は、2015年ネパール地震の時の写真です。写真のQRコードをスキャンして自分の仮想通貨ウォレットから銀行や政府を通さず、この人にお金を送ることができます。災害が起きた時、例えば義援金などをある慈善団体に寄付をしても、仲介する団体が手数料を取り、通貨を変更するために銀行が手数料を取り、また被災した人に満遍なく配られるため、私から直接希望する金額を特定の人へ送ることは、個人同士の知り合いではない限りできません。ブロックチェーンは、その無駄をなくすことを可能にしてくれる。これこそが渡辺君が目指す世界なのです。
ブロックチェーンで他に何ができるの?
ブロックチェーンテクノロジーを使えば、金融以外の分野でも有意義な応用方法が期待できると渡辺君は考えます。また、彼がインターンシップをした企業も、この分野でのパイオニア的企業でした。
例1)ヘルスケア:2013年にDrug Supply Chain Security Act、医療品に番号をつけ互換性のある電子上で管理しなければならない法律が施行されることに先駆け、薬を作る人、配る人、消費する人の情報が一元化管理できるシステムが開発されています。これまではそれぞれの場所(製造業者、販売業者、医者)で管理され、データベースが多数存在することが問題でしたが、その管理をブロックチェーンで一括統括することができるようになるそうです。渡辺君は、このシステムの開発をしているChronicledという企業に目を付け、見事IBPプログラムでインターンシップのポジションを獲得しました。(Chronicledは2018年Top 10 blockchain startup from Silicon Valleyに選ばれている企業です。)
例2)自動車分野:これも上の医療品の例と同じく、作成から消費までの過程を一元化管理できるようになります。リコールの時などに、問題の発見が一瞬でできるなどの利点が期待されています。
現在はまだまだ知名度はあまり高くないブロックチェーンですが、これから世に出てくるテクノロジーには、少なからずブロックチェーンの技術が使われるものが増えると渡辺さんは確信しているようです。また、それはきっと『ブロックチェーン』という表札を隠した形で現れる、と言っていました。
留学を終え東京に戻った渡辺さんは、留学中に得たブロックチェーンの知識を活かし、東京で精力的にイベントに参加し、ゲストスピーカーとして登壇したり、講師をしたりしています。また、留学中にインターンシップをしていた企業からは、日本進出の足がかりとなる日本支部を任され、さらに自身で起業もしています。あ、そして忘れていましたが、彼はまだ現役の慶応大学生です。渡辺くんはこれからどのような世界を創っていくのでしょうか?
日本ではまだあまり知られていない「ブロックチェーン」。
サンフランシスコには、最先端の情報や技術がたくさんあり、情報感度の高い人たちが多くいます。“新しい”にあふれています。世界で何が注目されているのか、また将来注目されていくのかを身近で体験するのにサンフランシスコほどエキサイティングな街はありません。
今回は、渡辺くんの紹介をさせていただきましたが、IBPサンフランシスコでは渡辺君のような“世界をリードする街”で学びたい学生をお待ちしています!
関西学院大学 総合政策学部 4年
2018年5月より IBP ビジネス留学プログラム サンフランシスコ州立大学コース に3期生として参加中。アメリカ留学中には、国際ビジネスを学びながら、イベント企画運営会社のイベントボランティアなどをしています。IBPマーケティングチームに選ばれ、IBPブランドアンバサダーとして活動中!2019年1月から東南アジアでビジネスインターンシップをする予定です。