ワシントン大学のラグビー部でコーチとして活動。勝利を分かち合う喜びを知る

今回はIBPビジネス留学のベルビューカレッジ生でありながら、ワシントン大学ハスキーズのラグビー部に入部し、学生コーチという立場でチームをリーグ地区優勝まで導き、創部53年目にして初の全国大会出場という快挙を成し遂げた中野友博さんへのインタビューです。

Q. ベルビューカレッジ生でありながら、ワシントン大学のラグビー部に参加できた理由は?
高校時代に全国大会を経験しながら、怪我のため大学でラグビー部に入部する事をあきらめた事に対する後悔の気持ちもあり、留学での目標の一つに「部活に入ってチームに貢献する」を掲げていました。

ベルビューカレッジゴルフ部では要求されるスコアが高すぎて諦めざるを得なかったり、アメフトを子供達に教える機会を求めて探し回ったけれど、片っ端から断られたりと、いくつもの逆境がありました。

そんななか、ひょんなことからワシントン大学にラグビー部があり日本人選手もいる事を知り、留学生でも参加できるのでは?と思い連絡を取ったのがきっかけです。

最初は返事ももらえず、またダメかと思いましたが、諦めずFacebookから連絡を取ったところ、快く受けいれてもらえる事になりました。ただ、ベルビューカレッジ生であるため選手として出場する事は出来ないため、学生コーチという立場での参加となりました。

Q. ラグビー部での中野さんの役割は?
すでに現役アメリカ代表のキャプテンや、2年前のアメリカ代表だったというコーチがいる中で、自分の果たす役割を見つける事がまず課題でした。

練習を見て最初に感じたのが、練習を感覚ベースで行っている事でしたので、一つ目の役割として、チームの分析に取り組みました。

試合のデータを取り、その数字から見えてくる良かった点、悪かった点を数字をベースにコーチに分析結果を伝え、それを練習メニュー作成の際に活かしてもらえるよう働きかけました。

もう一つの大事な役割は、対戦相手の分析です。相手の特徴やサインプレーなどを分析し、選手やコーチにレポートし、練習の際に相手の動きを想像して取り組むことに活かしてもらいました。

また学生コーチという立場を取っていたので、激しいプレー以外は一緒に練習したりもしましたし、雑用などもこなしました。シーズン途中から入ってきた英語もままならない留学生の自分がチームメートの信頼を得るためには、みんなにちゃんとラグビーの事を分かっている、こいつは本気でチームのために動いてくれていると分かってもらい、みんなの心を掴む必要があると考えたので、片道10時間かけて対戦相手チームのデータを取りに行ったりした事もありました。

Q.入部してから苦労した事は?そしてその苦労をどう乗り越えましたか?
まず学生コーチという制度がワシントン大学ラグビー部には存在せず、自分の役割がなかった事が最初にぶつかった壁でした。

自分の仕事を自分で探すしかなく、まずは練習に活気を出すために声を出すことから始めました。ただ自分では一生懸命声を出し活気付けようと努力していたつもりですが、試合は惨敗、チームの活気も全くなく、自分の無力感を感じました。

そんな時、試合で誰も記録を取っていない事に気付き、そこからチームの分析をする事が自分の役割となりました。レポートを伝える際には、チームの強みを活かして、弱みをいかに標準化するか、短期間でいかに効率よく改善できるかにフォーカスし、シンプルに論理的に、そしてチームの事をどれだけ思っているかという情熱をこめて伝える努力をし続けたところ、最初は試合後にレポートを説明しても聞き流している選手も少なくなかったのですが、最後の方には、「大事な話だからみんなを集合させるので、もう一度説明して欲しい」などと言われるようになりました。

Q.入部して良かったと思った事は?
チームに貢献出来ていると感じ、チームの成長を一緒に感じられたときです。

自分の分析結果による提案が練習に取り入れられ、数字でも改善された事が見えたときには、自分が貢献出来ている事が実感でき、入部して本当に良かったなと思いました。

またリーグ優勝決定戦では唯一負けていたチームとの対戦であった事もあり、相手チームの弱点をしっかり分析し、その弱点をついての勝利そしてリーグ優勝だったため、優勝の歓喜の輪の中で喜びを分かち合ったあの瞬間の事は、一生忘れられない思い出になりました。

今までは、選手として出場する立場であったため、このような縁の下の力持ちの役割を果たした経験はありませんでしたが、今回の経験を通じて、どんな形であれチームに貢献する事、勝利を分かち合うことの喜びを知ることが出来ました。

Q.残りの留学期間での目標は?
ラグビー部は今シーズンが終了しましたので、今シーズンのスコアやレポートを来年度復帰するコーチに提出し、来年のチーム作りに活かしてもらえるようにする事を考えています。また選手一人ひとりにねぎらいの言葉や、良いところ、来シーズンに期待する事などをメッセージとして送り、ラグビーを通して真の友達となれた彼らと今後も交流を続けられるようにしたいと思っています。

また来学期にはIBP留学の最大の山場であるインターンシップを控えています。「日本の航空業界の発展のヒントを得る」という、留学のもう一つの目標を達成するために、様々な方に会ってお話を聞かせていただいたりしている中で、自分の目指す方向性も少しずつ見えてきました。

少しでも目指すキャリアに近づくため、インターンシップは飛行機の市場調査や販売に関われるようなインターン先を見つけたいと思っています。

また、ラグビーの練習がなくなった時間を利用して、現在はベルビューカレッジで開講されている夜の日本語クラスでボランティアをしています。受講者は皆さん、仕事を終えてから学びに来る社会人の方ばかり。彼らの真剣に学ぶ姿から刺激をもらいつつ、少しでも彼らの日本語学習に役立ちたいと思ってます。

何事にも真摯な姿勢で臨み、逆境でも諦めず行動していく姿勢、やりたいと思った事、掲げた目標のためにはとことんやりぬく彼の努力があったからこそ、これだけの輝かしい結果、素晴らしい経験につながったのだと思います。留学生活の基本「自分の目標をしっかり持つこと」「自分の目標にフォーカスする事」の大切さを中野君がまさに体現してくれた気がします。