修了生の声

憧れの街ロンドンでアートへの理解を深めた
憧れの街ロンドンでアートへの理解を深めた
和田 明莉
出身校:
コース:ウエストミンスター大学
キャリア:大学生
留学期間:2012年4月〜2013年3月 インターン先:Japanese Gallery(ファッション・アート)

IBPプログラムを選んだ理由を教えてください。

大学に入ったら、留学をしたいと考えていました。イギリスの大学に入り直すことも考えていました。IBPの奨学生の募集広告を見て応募することを決意しました。大学を休学してでも行きたいと思ったのは、語学だけでなく、学部授業、インターンまでも体験出来るという充実したプログラム内容があったからです。ロンドンの中心地で生活できるということも魅力でした。こんな絶好の機会は無いと思い、IBPを選びました。

留学先を選択した理由を教えてください。

高校時代の姉妹校交流でイギリスを体験しました。元々ハリーポッターなどの映画でイギリスに対する憧れもあったのですが、落ち着いた印象であたたかいイギリス人の人柄が本当に好きになりました。留学までに三回渡英をするほど、イギリスという国、その文化が好きでした。また、自分が芸術学を学んでいたのも留学先を選んだ1つの理由。日本でアートを学んでいても、はやり博物館や美術館学、美術史などの学問的なアートの主流は海外であるため、日本での研究では限界があると感じ、留学を志しました。しかも、私が留学したロンドンは2012年の夏期五輪大会開催地。エリザベス女王の戴冠60周年記念などのイベントも多く、普通の留学以上に面白い経験ができるのではという期待もありました。

街の印象を教えてください。

もともと大好きな街だったので、留学が心から楽しみでした。エリアによって雰囲気も違い、毎日発見があって飽きません。東側はファンキーな若者の街、大学のあったオックスフォードサーカス周辺はショッピングや観光客も多いセンター街、西側は宮廷もありポッシュな落ち着いたエリア、テムズ川周辺は美術館も多く静か、シティはサラリーマンの集まる大人なエリアでした。

キャンパスや設備など、日本と比べてどう違いましたか。

エントランスやPC、コピー機など様々なシステムがカードで一括管理されているのでセキュリティは安心。図書館なども遅くまで開いていて、長時間籠っていても大丈夫。とても使いやすい、過ごしやすい環境でした。

どんな科目を受講していましたか。

芸術学の基礎を学ぶ「Introduction to Arts and Culture」、国際関係を学ぶ授業で留学生も多く各国の文化の特徴や違いを知る「International Communication」、基礎英語の授業である「Speaking Skills」、留学生対象で、大学で授業を受ける時に必要な英語力をつける「English for Academic Purposes」を受講していました。課題の量の多さや、意見を聞き取り自分の主張をすることが大変でした。毎日図書館で復習をしていました。人生で一番勉強した気がします。(笑)しかし、どれも日本にはないような面白い授業ばかりで、毎日とっても楽しかったです。

興味を持って取組んだ授業を教えてください。

「芸術学入門」の講義は大変面白かったです。自分の専門を活かすことのできる授業で、博物館はどうできあがったのか、美とは何か、文化を守り伝えていくとはどういうことか、など。本場で学ぶ内容は本当に奥が深くて、毎回驚くことばかり。実際に美術館に行って見学したり、同級生と討論したりもしました。最後の課題は、授業で触れたテーマから1つ選んで、自由に研究・発表するものでした。私は、自分が唯一のアジア人であることを活かし、自分の国である日本の美術館と英国の美術館を1つずつ例にあげて、どう違うのか比較検討するという内容をプレゼンしました。拙い英語ながらも、同級生にとっては知らない世界だったらしく、興味深く聞いてくれました。「あなたのプレゼン最高だったわよ!」と同級生が言ってくれたことが本当に嬉しかったです。このときに調べたことや、資料などは日本に帰ってからの研究にも多いに役立ちました。ちなみに、帰国後に大学に提出した卒業論文は、「日本の文化政策と東京五輪における文化発信」をテーマにしました。

課外の活動で参加したものや活動で得たものを教えてください。

夏休みを利用して、欧州美術館巡りの旅をしました。アートの世界を志すなら、いわゆる名画とよばれる作品はこの目で一度は見ておかないといけないという思いから一人旅にでかけました。7カ国11都市(パリ、リヨン、マドリード、バルセロナ、ローマ・バチカン市国、ミラノ、フィレンツェ、ウィーン、ミュンヘン、ブリュッセル、アムステルダム)を2週間で巡るという弾丸旅行でしたが、沢山の出会いと学びがありました。ICCメンバーが開催した日本食パーティーも印象に残っています。ICCメンバーが所属していたジャパンソサエティの活動として、日本食を振る舞い、東日本大震災への復興募金をお願いするチャリティー企画のお手伝いとして参加しました。多くの学生と交流する機会になり、友人を沢山つくることができたのが良い思い出です。


インターンシップでの仕事について教えてください。

Japanese Galleryでインターンシップをしました。接客、事務関連(会計、備品調達、ニュースレターの作成、店内の展示管理)、商品整理(額入れ、修復)など多様な業務を担当しました。特に面白かったのは、接客販売です。日本人として、アート専攻としてある程度浮世絵の知識は持っていたつもりでしたが、海外の方に細かな部分までしっかりと説明するのはとても苦労しました。しかし、自分が当たり前だと思っていた文化や情景が、彼らにとって珍しく、面白いもので、素晴しいと思ってくれるものだということを痛感でき、改めて自分を育ててくれた日本文化に興味を持つことができました。自分が説明し、それに興味を持ち、購入してくれる。これまで学んで来た、「モノの魅力をいかに伝えるのか」という学芸員資格取得を目指したときの志が体現出来て、その面白さを実感しました。

インターンシップで苦労したことを教えてください。

英語で会話することに不安と戸惑いがありました。しかし、自分がその不安を補うだけの知識や自信を持ちはじめたこと、そしてもちろん初めての相手と話すことに対して楽しみを見いだせたことに大きな成長を感じました。コミュニケーションにおいて度胸とチャレンジ精神がつきました。作品に込められたメッセージ、核となる意味をしっかりと自分が理解し、それを相手にわかりやすく伝えることが本当に苦労しました。

ICC事務局のキャリアサポートに関しての感想を教えてください。

日本にしてもロンドンにしても、本当に素晴しいサポートをしていただいたと思います。私は他の同期に比べて、そこまで英語ができなかったので、課題の提出前などにはじっくりと相談にのってくれ、英語のチェックもしてくれました。精神面、技術面においても多方面からサポートしてくれたおかげで、まるでロンドン滞在中のみんなの母親のような気持ちで安心して学校生活を送ることができました。

留学、インターンシップをどのようにアピールしましたか。

インターンシップは就職活動においてプラスになりました。一般的な留学経験・エピソードだけでなく、実際にインターンシップをして海外で就業体験をしたことが私を成長させてくれました。ロンドンでインターンシップをして、人と触れる仕事をしたいと思うようになりました。併せて、建物や家具などを数百年大切に使い続けていたり、アンティークなど古いモノを多くの人が売買していたりするイギリスの文化が素晴らしいと感じるようにもなっていきました。そうした価値観を、日本でも提案したいと思うようになったのです。そして、百貨店などを志望するようになっていきました。「基本的な語学力」「自分の専攻を突き詰めるための努力する力」「インターンシップで得たコミュニケーション力」そして「自らの日本文化への興味感心、それを伝えることの大切さ」「世界へ飛び出すハングリー精神」など、「何をしたのか」ではなく、「そこから何を学んだのか」を軸に話したことできちんとアピールしていくことができました。

留学を振り返り、自分がかわったと思うことを教えてください。

何でも来い!といった度胸や、チャレンジ精神を身につけことができました。これまでも好奇心旺盛な性格であるとは思っていましたが、実際に自分の興味関心についてつきつめる行動力と、そこから何でも学んでやろうというハングリー精神は養われたのではないでしょうか。また、自分のキャリアを考える機会にもなりました。留学前は、学芸員になりたいと思っていたのですが、現地でアートにかかわる人々と接するうちに将来の可能性を広く考えるようになりました。。

IBPを希望している人に向けたアドバイスをお願いします。

「英語を知っている」のではなく、「英語を使える」ことが大切です。英語とはあくまで自分を表現するため、相手のことを知るためのツール。この力を活かして、何をしたいのか、何を学びたいのかといった英語を使うことの「その先」を考えて行動することが重要です。わざわざ海外で過ごすのですから、勉強でも、生き方でも、何か1つでも収穫し、自分を変えてやるくらいの心意気で出発するとよいと思います。一方で、自分が世界に対して何を発せられるかも考えてみてください。日本人であること、学生として何かしらの学問を極めようとしていること、自分は何者なのかを理解し、世界に向けて何を残せるのかを考えて行動することも大切だと思います。

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