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キャリア、ビジネス、IBPがよくわかる「GLOBAL INSIGHT」
ビジネス留学情報ブログ「GLOBAL VISION」
2006年
松永 明子
AKIKO MATSUNAGA
出身校:日本大学 法学部
コース:ウエストミンスター大学
キャリア:社会人
留学期間:2005年4月〜2006年3月
インターン先:国際政治経済関連の個人事務所
1978年生まれ、東京都出身。日本大学法学部卒業後、コンピューター関連企業に勤務。2005年4月よりIBPウエストミンスター大学コースに参加し、国際政治経済の個人事務所にてインターン。インターン中にはアフリカ・ケニアでの植林活動にも参加。留学後は、宇宙事業を展開する企業に就職。

インターン生としてアフリカへ行き、「地球の森プロジェクト」の企画運営に携わりました

年齢的な不安もありましたが、悔いのない人生を送りたかった

IBPの仲間が私の誕生日に集まってくれた

授業が一緒だった韓国人(左)と私(中央)とスペイン人(右)とともに。夜遅くまで、授業のこと、恋愛のことなど語り合った

週末は、よく公園に行って英気を養っていました

テロ直後の週末に、イギリス北部でホームステイを体験。フェスティバル会場にて

湖水地方の大自然や動物たちに癒されました

インターンの一環でケニアの小学校を訪問して

IBP参加の動機を教えて下さい。

大学卒業後に就職し、総務や役員秘書として働いていましたが、大学で勉強していた国際関係論をより深く学び、この分野にキャリアチェンジしたいと思い、留学を決意しました。IBPのプログラムは、大学での勉強とインターンの両方を経験できる点で、社会人の私には実務も経験できる大変魅力的なプログラムでした。

仕事をやめて留学しようと思った理由は?

学生の頃から、国際公務員になるために留学したいと考えていましたが、当時は、英語力も費用もなく、周囲の猛反対にあって四面楚歌の状態であったため、留学を断念して就職しました。しかし、社会人になって1年が過ぎた頃から、留学して世界を見てみたいという気持ちが次第に強くなり、今やりたいことをしなければ私の魂は死んでしまうと思うくらい強い思いがありました。この時は、資金も英語力も準備しており、何度も両親を説得して留学への理解を得ることができました。年齢や留学後の仕事を考えると不安もあったけれど、不安よりも海外へ行きたい思いの方がずっと強かったのです。「やらないで後悔するより、やって後悔しろ!」という言葉があるように、悔いのない人生を送りたかった。

留学先のウエストミンスター大学について教えて下さい。

国際関係論発祥の地であるイギリスで学びたかったし、歴史や芸術が好きだったので、イギリスにあるウエストミンスター大学を選びました。大学は留学生を多く受け入れていて、文化的背景が違う人と当たり前のように一緒に生活する点が新鮮でした。授業ではディスカッションがあり、自分の意見を述べるために予習をするなど、図書館で勉強する人が多かったですね。

特に印象に残っている授業は?

世の中の動向を知りたくて「グローバリゼーション」の授業を選択しました。ある出来事について、その現象が起こった背景や問題、今後の動向などを学ぶのですが、とても興味があることだったので、よく夜中まで勉強していました。その結果、中間テストで最高得点を取り、自信がつきました。また、プレゼンテーションでは、4~5人でグループを作って発表します。気がつくと自分が中心となってチームを纏めていたり、プレゼンではジョークが通じたり、外人の中でも自分のキャラクターが活かせることがうれしかったです。

ロンドンでテロに遭遇されたそうですね。

留学して3ヶ月が過ぎた2005年7月、ロンドン同時多発テロに遭遇し、危険が身近にあることを身をもって経験しました。テロは寮の裏で発生したため、私の寮は危険区域としてテープが貼られ、しばらくの間、パトカーのサイレンが生活の一部となるほどでした。ロンドンは多種多様で面白い反面、どのような人がいるのかわからない点で怖さを感じました。それは、単一民族である日本では経験できなかったことだからです。日本は平和すぎて国民の危機意識が足りないことに危機感を感じました。また「何故このようなテロが起きるのか?」と考えるきっかけにもなりました。今では、テロに遭遇したのも貴重な経験だと思っています。

その後、インターン体験をしたのですね。

インターン先は自分で見つけて、8月末から働きました。国際政治経済の専門家の個人事務所です。テロの後、大学で国際情勢についての特別講義があり、講義後に「先生のもとで働かせて欲しい」と直接アピールして履歴書と職歴書を手渡ししました。熱意をかってもらい、後日、インターンとして受け入れてもらえることになりました。先生は、国際政治・経済における国のリスクの分析、評価をしており、政府や企業や団体などにアドバイスをされている方です。その先生のアシスタント業務、リサーチャーの補佐、プロジェクト運営(国連、企業、日本のNGOと共にケニアで植林活動を実施)を担当しました。

インターン体験でどんなスキルが身に付きましたか?

インターンで国際政治の現場に身を置いて、世界の裏側、物事の裏では何が起きているのかを知り、物事を多角的に見ることができるようになったと思います。知らなければ良かったと思うこともありますが、先入観を持たずにこのような現実を直視すると、物事の本質は何かが見えてくるようになりました。

インターン体験中にアフリカへ行かれたそうですが、その経緯を教えて下さい。

インターン先の先生が地球環境平和財団(日本のNGO)の欧州代表を兼任していたため、私も同NGOの欧州事務所のインターン生として、ケニアで「地球の森プロジェクト」の企画運営に携わりました。このプロジェクトは、国連環境計画(UNEP)と日本のNGOの共済事業で、5年間で100万本の植樹を目標としています。2006年3月27日から4月11日の16日間にわたる植樹キャンペーンで、ナイロビ市、キスム市内の小中学生を中心に5000名以上が参加し、各学校内の広大なキャンパスで植樹を行いました。ケニアでは、官公庁やJICAを訪問して植樹活動の意見交換をしたり、世界中の子供たちが描いた環境問題の絵画審査を行いましたが、私はスケジュール調整や出張手配、備品手配、会議の議事録などを担当しました。

初めて訪れたアフリカでのインターン体験で苦労した点は?

異文化の中で産官学を連携する“地球の森プロジェクト”は実に大変でした。プロジェクトの1ヶ月前に自分が担当することを知り、それから準備を始めました。ノウハウを教えてもらうため、日本と国連(ケニア)に連絡を取ったのですが、時差もあり、連絡を取るのも容易ではありません。国連からの回答は遅く、たびたび変更が入ります。いつもは念入りに準備をして当日を迎えていましたが、これは日本のやり方であることに気づきました。今回は、スケジュールを決めただけで、詳細は決まっていないまま当日を迎えました。また、国連、NGO、企業の思惑が異なり、打合せで口論することもあったのですが、言葉の違いもあり、日本人が十分に発言できないことに、見守るだけの私は悔しさを感じました。このプロジェクトを通して、海外で仕事をする時は、日本のやり方(常識)を求めてはいけないことを知りました。準備ができないままアフリカに渡り、非常に不安でしたが、現地で状況判断して物事を進めることを覚え、度胸がついたと思っています。

プログラム修了後、就職活動はいつから始めたのですか?

4月半ばに帰国し、5月半ばから就職活動を始めました。面接では、キャリアを中断させたのではなく、インターンで実務経験を積み、何を身につけてどう活かせるのかを伝えました。 ただ、なによりも、留学中の1年間に自分がやりたいことを全てやりきった充実感があり、自分に自信をつけて帰ってきたことが大きいと思います。面接では、私の人間力を見てもらいました。

現在の仕事について教えて下さい。

入社以来、人事総務を担当してきましたが、最近異動となり、社内教育、広報、予実算管理などを担当しています。

IBP留学はキャリア形成にどのように影響したと思いますか?

留学するまでは目が海外に向いていましたが、海外から日本を見たことで「自分のふるさとである日本をよくしたい。日本を拠点としよう」と思い、自分の関心事も身近なところへと変わってきました。これまでは「平和な社会を実現したい。国際問題を解決したい」と思っていましたが、問題を起しているのは人間であり、社会や国の構成単位は人。そのため、人の心理や人間関係を学ぶ必要性を感じました。

留学を経て、価値観が変わったことは?

ホームステイ先では夫婦が一緒に料理をしたり、ガーデニングをしたり、家族と庭で語りあったりと、生活にゆとりがあり、家族をとても大切にしていたのが印象的でした。また、多くのヨーロッパ人に出会い、彼らが人生を楽しんでいる生き方を目の当たりにして、人生観が変わりました。さまざまな人の生き方を見て、私にとって幸せとは、キャリアウーマンとして生きるだけではなく、仕事と家庭と趣味のバランスが大切であることに気づけたのは大きな変化でしたね。

ケニアの高校で植樹活動をした

今後の展望や将来の夢を教えてください。

小学生の頃から「世界平和を実現したい」という想いを持っていましたが、留学後はテーマが身近なところへと変わりました。国際問題や社会問題を起しているのは人間であるから、問題解決のためにも「人」の心理を学ぶ必要性を感じて、留学後は心理学を学びました。困っている人を助けたいと思って学び始めたのですが、これが、自分の心を見つめることにもなり、何をするにしても自分の心理状態が常に安定していることが基本だと思いました。自分の心を常に平安に保てるようになった暁には、身近な人へ、地域へ、社会へと、活動を広げていきたいと思います。

IBP参加希望者へのメッセージ、アドバイスをお願いします。

留学したいという気持ちがあれば、是非やってみる価値はあると思います。ただ、目的にあわせて、どのようなプログラムがいいのか、語学留学や短期留学、もしかしたら旅行でいいのかもしれません。自分の目的や将来を考えて、プランを立てて実行して欲しいと思います。社会人の方は、キャリアを中断することになるので、留学で何をしたいのか、それをどう活かすのか、帰国後のことを具体的に考える必要があると思います。将来設計、目的、資金があれば、後は勇気をもって一歩を踏み出すだけ。求めて行動すれば、実りとなって返ってきますよ。小さな一歩が大きな一歩となるよう、人生、後悔しないように生きて下さい!

*体験談の内容は寄稿時の情報です。

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