IBPが人生の転機に。帰国後はマーケティングリサーチャーとして活躍
週末は社会起業家育成のメンターとして、ボランティア活動を行っています
黒澤さんがIBPに参加されたのは10年以上前ですが、自分にとってIBP体験はどんな意味があったとお考えですか?
月並みですが「人生の転機」です。言葉や文化の異なる国でサバイバルした経験は、やはり大きな自信に繋がったと思います。おおげさかもしれませんが、自分はどんな場所でも何とかやって行けるだろうという自信がつきました。また、ロンドンで出会った友人たち(日本人だけでなく外国人も)は今でも連絡し合い、刺激を受ける存在です。彼らが活躍していると「私もがんばらないと!」とInspireされます。つまり、自分自身の成長と共に、その後の自分の成長を促してくれる発展的な関係の友人も得られた場であったと考えています。
留学修了後、英語力を維持するためにどんな工夫、努力をしていますか?
外国人とルームシェアをしたり、外国人の友人を作ったり、もちろん英会話の学校にもコンスタントに通い続けました。また、英語によるビジネススクールの授業(マーケティングや組織論)を受講したりしました。
帰国から現在までの経緯を教えて下さい。
最初は、日系の世論・市場調査に入社。英語が使えるということで、外資系メーカーのマーケティング・リサーチを主に担当していました。そこで3年間リサーチの基礎を身につけ、世界最大の外資系のマーケティング・リサーチ会社へ転職。この会社では、日系企業が海外へ進出する際のサポートとして、海外でのマーケティング・リサーチを担当しました。クライアントと一緒に海外出張に行くなど、多忙な6年の後、今度はクライアントサイドでマーケティング・リサーチを手がけてみたいと思い、現在のメーカーに転職しました。現在は、外資系ペットフードメーカーで、マーケティング・リサーチを担当。今の仕事に就いて3年が過ぎようとしています。
黒澤さんのキャリアに、留学経験はどのように活きていますか?
英語というツールは、まず最初の就職活動でプラスに働きました。その後も転職先の会社を選ぶ際に、選択の幅が広がりました。また、世の中にはいろいろな価値観の人がいるという経験は、リサーチャーとしての資質の一つである「バイアス(偏見)を持たずに、ありがままに見ていく」という姿勢を培う土台になったと思います。
IBP参加の動機を教えて下さい。
大学3年生の春に民間シンクタンクの企業訪問をした際、英語が使えると有利と聞いた後で、大学の掲示板にIBPのスカラシップ応募のポスターを発見。1年ぐらい海外に暮らしてみたいというかなり軽い気持ちも加わり、応募してみました。留学したのは、大学を卒業してから半年後の9月からです。
なぜ留学先にイギリスを選んだのでしょう?
ロンドンが首都だったためです。もう一つの留学先であったアメリカのシアトルよりも、人種が多岐に渡っているということ、また、社会の動きを目の当たりにできると感じたためです。
苦労した授業は?
心理学の授業です。学生がペアを組んで話し合ったり、最後のテストも記述式だったため、自分の英語力の乏しさを痛感しました。
インターン先はどちらでしたか。
シンクタンクを希望していたのですが、当時は希望に合うインターン先がなく、結局大学の事務局でお手伝いをさせてもらいました。
留学時代の印象に残っているエピソードがあれば、教えて下さい。
たくさんあるのですが、1つは寮生活の楽しさです。ロンドン北の自然が豊かなエリアに立つ寮の同じ階には、ドイツ人やイタリア人、日本人が集い、「三国同盟」と呼んで、夜な夜なキッチンパーティをしていました(寮は、各自個室ですが、キッチンとバスルームは共同)。まずは、キッチンでお互いの食事紹介から始まりましたが、だんだんと深い話、例えばお互いの国の文化や政治、価値観など多岐に渡って議論してました。 また、ロンドンではいろいろなお祭りがあるのですが、よく皆で見に行っていたのも楽しかったですね。特に時間感覚はお国柄があるので、みなが揃って出発するのに一騒動でした。横並び的な日本に「窮屈さ」を感じていた私にとって、ロンドンでの生活は一つの価値観に縛られない「自由」を感じた日々でもありました。
今後の展望などのビジョンを教えてください。
今後は、リサーチというスキルをマーケティングだけでなく、ソーシャルな分野において発揮できる場を模索しています。現在、週末は社会起業家育成のメンターとしてボランティア活動を行っています。
最後に、IBP参加志望者へのアドバイスをお願いします。
私の場合、1期生ということもあり、残念ながら希望するインターン先が見つかりませんでしたが、今はかなり受け入れ先が充実していると聞いています。インターン先でイギリス人のワークとライフのバランスを体現するのも、その後の自分のキャリアのあり方について、ある示唆を与えてくれると思います。。
*体験談の内容は寄稿時の情報です。