コース:ワシントン大学
キャリア:大学院生
留学期間:2007年3月〜2008年3月 インターン先:Expeditors(貿易会社)ほか 1982年生まれ、東京都出身。東北公益文科大学大学院(山形県)を卒業。IBPワシントン大学プログラムに参加し、Expeditors、Pinpoint Marketing Japanなど4社でインターンを体験した。現在は、本田技研工業(株)勤務。
「やらずに後悔するより、やってから後悔したい」積極的に自分から行動を起こした1年間でした
Independent day ( 7月4日独立記念日)のイベント会場にて
インターンシップ報告会でのプレゼンテーション。もちろん英語です
友人とルームシェアをしていた家でエスニック料理中
Japan Night!イベントにて、浴衣着付けのボランティアに参加
大学院卒業後すぐにプログラムに参加したのでしょうか?
修士論文を出す前にスカラシップに応募して修士論文を提出、面接を経て修士修了資格をいただき、IBPプログラムに参加しました。
プログラム参加前に留学経験はありましたか?
大学の時に、ニュージーランドとアメリカのコロラド州に短期留学をしたことがあり、もっと長期の留学がしたいと思っていたところ、新聞広告でIBPプログラムを知り、「これだ!」と思ってスカラシップに応募しました。
ワシントン大学コースを選択したのは?
ビジネスを学びたかったからです。社会における企業の役割というところにとても興味があって、大学院ではCSR(Corporate Social Responsibility)を学んだのですが、アメリカはCSR発祥の国。語学を身に付けるというよりも、アメリカのビジネスを肌で感じることが留学の目的でした。
留学中、特におもしろかった授業を挙げると?
「FINS」という留学生だけのプログラムがおもしろかったですね。4~6人でチームを組んでマーケティングをする授業で、1つのチームに企業や政府などの役割と筋書きが与えられ、ほかのチームとネゴシエーションをしながら自分の企業なり国なりを、いかに発展させられるかという内容でした。私のチームは農業で成り立っている自然豊かな架空の国でしたが、企業役のチームが自動車などさまざまな産業を売り込みに来ます。その都度、チーム内で「農業でやっていくべきだ」「自動車よりも薬品などの産業を取り入れた方がいい」など、さまざまな意見を出し合いました。メンバーは全員留学生で、年齢も国籍もバックボーンもばらばらですから、本当にいろいろな意見が出て、おもしろかったですね。
留学前は、英語に自信がありましたか?
自信はなかったですね。どちらかというと苦手意識の方が強かったです。でも、留学先の授業では徹底的にディスカッションをしたので、必然的に英会話力が鍛えられました。友人にはよく「サウジアラビア人みたい」と言われてました(笑)。
それはどういう意味ですか?
サウジアラビアの人って文法は苦手なんですが、プレゼンがすごく上手なんです。一般的に日本人は逆で、文法は得意でも会話ができない人が多い。でも私は、文法は完璧じゃなくてもコミュニケーションが取れればいいと考えてます。なので、授業でもプレゼンはまったく緊張せずにできましたが、筆記テストはなかなか苦痛でしたね。
留学中、複数のインターンシップを体験されたそうですね。
はい。プログラムに含まれるインターン以外に、自分でインターン先を見つけて体験するというのが、留学の目的のひとつでした。果物をアメリカ国内に流通する小さな貿易会社「Honey bee」や、「ジャングルシティ.com」でもイベントがある時などにインターンをさせていただきました
インターンシップの中で、一番印象的だったのは?
インターンではないのですが、自主的にアメリカのスポーツショップに日本製品を売り込んだことが思い出深いです。当時、アメリカには固いティー(ゴルフ用品)しかなく、日本製のゴムでできた柔らかいティーをいくつかのスポーツショップに売り込みに行きました。日本の友人から送ってもらった商品を見せてショップの人に説明したのですが、私は代理店でも何でもないので、多くのショップに相手にしてもらえず、心が折れかけたこともありました。最終的に、2つのショップが興味を持ってくれて、日本のメーカーに経緯を話し、アメリカに商品を卸してもらうように話をつけました。この体験は、ネゴシエーションのいい勉強になりました。
プログラムに含まれているインターンはどちらで体験しましたか?
エクスペダイターズという国内有数の貿易会社で、私が配属されたマーケティングの部署では、インターンの受け入れが初めてでした。世界各国へのシッピングをスムーズに行うためのアレンジが主な仕事でしたが、とにかくテレビ会議をよく行っていて、会議のアレンジも私の担当でした。
そのインターンで苦労したことは?
ビジネス用語や、貿易の専門用語がわからず、テレビ会議なのでいちいち聞き返すわけにもいかず、最初の頃は辛くてこっそり泣いてました(笑)。それでも我慢して会議に出続け、わからないことはとにかくメモして調べ、わからなければまわりの人に聞くようにしていたら、1ヶ月くらいして抵抗なく会議の内容が聞き取れるようになりました。この会社でのインターン体験でリスニング力が格段にアップしたと思います。インターン終了時には、会社からフィードバックがあるのですが「ものすごくバイタリティがある」と評価され、「もし働きたければ、いつでもおいで」と言ってもらえたことが、本当にうれしかったです。
それ以外にインターン体験で身に付いたことは?
コミュニケーション能力ですね。インターン受け入れが初めての部署ということもあってプレッシャーもあったのですが、自分の殻に閉じこもらずに、まわりのスタッフとの関係をよくすることを心がけました。手作りのお菓子を配る「お菓子作戦」は、コミュニケーションを取るきっかけ作りにとても効果的でした(笑)。
インターンを通して印象的だったことは?
大学院でCSRを学んだことから、現地企業のCSRにとても興味があって、いくつかの大企業に話を聞きに行きました。ジャングルシティ.comでイベントの手伝いをした時に知り合った協賛企業の方たちからCSR担当者を紹介してもらい、その企業が具体的にどんな活動をしているのか聞かせてもらいました。「CSRを学んでいるので、自分の勉強のために話をきかせてほしい」と伝えると、ほとんどの大企業が受け入れてくれたことが印象的でした。
就職活動はいつ頃からスタートしましたか?
留学して半年経った時にボストンキャリアフォーラムに参加し、そこで今の会社から内定をいただきました。留学中に内定をいただくことができたので、本当に恵まれていました。
キャリアフォーラム参加にあたり、どんな準備をしましたか?
アメリカの企業の面接も受けようと思っていたので、日本語と英語の両方のレジュメを用意したのですが、英語でのレジュメの書き方を知らなかったので、ちょっと苦労しました。アメリカ人の友達のレジュメを参考にして準備しました。
キャリアフォーラムでは、何社の面接を受けましたか?
2日間で8社の面接を受け、すべての会社から内定をいただくことができました。現在の勤務先は、キャリアフォーラムで一番最初に面接を受けた会社です。その日の夕方に2次面接を受けて、翌日に内定をいただきました。
難関といわれるボストンキャリアフォーラムで成功した秘訣は何だったと思いますか?
留学生が持つ能力として当たり前の英語力というより、行動力を伝えようと思い、面接ではゴルフのティーを売り込んだ体験や、貿易会社でのインターンシップ経験で学んだことなどを中心に話すことが多かったです。
IBPを経験して自分自身が変化したところはありますか?
もともと行動力はある方でしたが、留学して「やらないで後悔するより、やってから後悔しよう」という気持ちがさらに強くなりました。自分から行動を起こすことは大変なこともありますが、1年間と期間が限定されていたことが、その気持ちに拍車をかけたと思います。
帰国後、すぐに仕事がスタートしたそうですね。
はい。3月に帰国して2週間後の4月1日からからHondaでの仕事が始まりました。就職前に、会社から実家の方にいろいろな課題が送られていて、帰国してから2週間でそれらをすべて終わらせるという大変な目にあいました(笑)。
シアトル郊外の「Snoqualmie Falls」にて
現在の仕事で留学経験が役立っていますか?
職場では日常的に英語を使っているので、英会話力が活かせています。日本においては、外資系企業よりも世界に製品を輸出している当社のようなメーカーの方が、英語を使う機会が多いと思います。あとはテレビ会議ですね。これはインターンで鍛えられたので、スムーズに進めることができます。
今後のキャリアビジョンは?
まだ仕事を始めて3年しか経っていないので、次のステップまでにはまだしばらく時間がかかりますが、視野を広くして、いろいろな選択肢が持てるようにしていたいと思っています。