コース:ウエストミンスター大学
キャリア:大学生
留学期間:2009年9月〜2010年8月 インターン先:Four Seasons(ホテル) 1986年生まれ、神奈川県出身。東京外国語大学4年時に休学し、IBPプログラムに参加。インターンシップはロンドンのFour Seasonsで行い、客室サービスの仕事を担当した。帰国後の2010年9月から、エアライン業界に絞って就活を開始し、2011年4月より外資系航空会社に勤務。
IBPの1年間は、大学の4年間より濃い
留学の動機は?
子供の頃から海外に興味があり、大学も外国語を専攻しました。姉が留学したこともあり、自分も将来は海外で活躍したいと思っていました。就職活動の時に「ビジネスレベルで英語が話せる」と自信を持って言える語学力を身に付けたかったので、留学を決意しました。
IBPプログラムを選んだのは?
語学学校に留学した友人から、「語学だけを勉強するのでは物足りない」という話を聞いていましたし、大学の交換留学制度は3年次までに決めなければならなかったので、ちょっと間に合いませんでした。学部の授業のほかにインターンができるというIBPのプログラムは、私の目的に合致した内容だったので、私にとっては大学の交換留学よりも魅力的なプログラムでした。
授業の進め方という点で、日本の大学と留学先の大学とでは、どんな違いを感じましたか?
外国語大学は留学生が多くてインターナショナルな環境ですが、やはり一般的に日本の大学の授業は受け身のレクチャーが中心です。その点、海外の大学は、グループプレゼンテーションやディスカッションなどが多いですね。ウエストミンスターはアメリカからの留学生も多かったので、アメリカの学生の特徴も肌で感じることができました。
具体的には?
とにかく自分の意見を主張します。「London Theater in Performance」という授業を取り、ある作品を鑑賞してディベートしたのですが、アメリカ人留学生はとてもよく意見を言い、日本人との違いを強く感じました。ただ、最後の授業でプレゼンテーションをした時に、教授から「あなたの英語力はこの大学で十分にやっていけるレベルなのだから、自信を持って意見を言ってください」と言われた時は、すごくうれしかったです。
ネイティブの前でプレゼンテーションするのは緊張しますよね。
間違えないようにしようと、すごくナーバスになりましたが、プレゼンテーションを経験することで度胸がつきました。本当に大変でしたが、がむしゃらにやり続けたことで、大きな達成感が得られました。
留学生活の中で一番大変だったことは?
一番大変だったのは、インターンシップを体験した3か月間でした。
インターンシップはホテルで体験したんですね。
はい。ロンドンのフォーシーズンズでルームサービスを担当しました。仕事内容は、注文を受けたドリンクを揃えたり、キッチンにフードを取りに行ってお客様に届けるのですが、料理についてお客様に説明しなければならないので、キッチンのスタッフとコミュニケーションを取って、使っている食材などについて確認しました。あと、レギュラーゲストの方には、シャンパンやフルーツなどの特別なアメニティをお届けするのですが、その準備とデリバリーもルームサービスの大切な仕事でした。VIPのお客様は個々にアメニティが異なるので、スタッフ間でお客様の情報をシェアして、スムーズにサービスできるように気を付けました。
仕事をするうえで、心がけていたことは?
5つ星ホテルなので、皆、プライドを持って仕事していましたし、インターン生だからといって失敗はできませんでした。インターン生という名札をしているわけでもなく、誰も私がインターン生とは思っていなかったと思います。接客業なので私の対応の仕方でホテルの印象が決まってしまいますし、ルームサービスは食品を扱うので、身だしなみについては特に厳しく言われました。インターンとは言ってもプロとして仕事をしなければいけないと、常に心がけていました。
同僚の方々にはどんな人たちがいましたか?
レストランがイタリアンだったので、イタリア人が多く、あとはオランダ、ウクライナ、バングラディシュやパキスタン、エジプト、フィリピンなど、レストランに日本の方もいました。職場ではイギリス人はマイノリティでしたね。
彼らから学んだことはありますか?
本当にたくさんあります。正社員として働いている同世代のスタッフから、今後のライフプランなどの話を聞き、ずいぶん刺激を受けました。また、国際色豊かな環境で日本人としてのアイデンティティにも気づかされることが多かったです。私は、どんな作業をするにもルールに沿って型通りに進めようとするところがあったんですが、ある時、イタリア人の同僚から「君は自分の人生を難しくしている。もっと楽にやれる方法がある」と言われました(笑)。確かにその人を見ていると、仕事も人生の一部として楽しんでいて、仕事だけでなく、生き方についても彼らから学びました。日本にいたら絶対に出会わないような人たちと親しくなって、一緒に仕事ができたのはとても貴重な体験でした。
インターン中に一番辛かったことは?
苦手なマネージャーがいたんですが、その人と一緒のシフトの時に、いろいろな負の連鎖が重なって大きなミスになり、お客様からクレームを受けてしまいました。マネージャーに状況報告をする際、複雑な状況をうまく英語で伝えることができずに怒鳴られてしまったんです。「私1人の責任ではないのに」という気持ちと、うまく説明できなかったもどかしさで自己嫌悪に陥り、その時は本当に辛かったですね。インターンが終わる頃にはそのマネージャーとはいい関係を築け、今ではいい思い出ですが、その時の経験から、苦手意識を持っている人ともコミュニケーションを取らなければ、と強く感じました。アクシデントが起こった時、スタッフ間のコミュニケーションがきちんと取れていれば、上手く対処することができます。「苦手意識なんか持っているようではダメだ」と、いい勉強になりました。
ロンドン生活はどのように楽しまれましたか?
姉がアメリカに留学していたこともあり、実はプログラム参加直前まで、留学先はシアトルにしようと思っていました。でも、説明会でウエストミンスターに留学された方が「ロンドンに滞在すると、ヨーロッパ各地に電車で旅行できる」と言っていたのを聞き、留学先を変更したんです。まさにその通りで、ロンドンに留学して本当によかったと思っています。私はキリスト教画が好きなのですが、ヨーロッパ各地の有名なミュージアムを訪れてたくさんの絵画が見られたのが本当によかったです。また、念願だったウィンブルドンでの観戦も実現したし、バレエやオペラ鑑賞も堪能できました。
ロンドンではいろいろなミュージアムなどが無料で入場できますよね。
はい。ナショナルギャラリーに入ってダヴィンチの『岩窟の聖母』を見た時は、「私はこの絵を見るためにロンドンに来たのかもしれない」と思うほど感動しました。
外資系航空会社から内定を獲得されたそうですが、就職活動の中で、IBPのカリキュラムが役立っていると思いましたか?
はい。特にインターン体験は役に立ちました。新卒にも関わらず、海外での職務経験があるというのは非常にポイントが高いと思います。特に外資系は即戦力重視なので。昔から客室乗務員に憧れていて、いつかは国際線に乗りたいと思っていましたが、留学前はまったく現実的ではありませんでした。IBPに参加していなければ、外資系航空会社という選択肢はなかったと思います。海外のホテルで働いて自信がついたことで、外資系にチャレンジすることにつながりました。
留学前から航空業界を志望されていたんですか?
はい、そうです。それでインターン先をホテルにして、客室乗務員の仕事に近いルームサービスを担当させてもらいました。インターン体験はとても辛かった半面、とても楽しく、ホスピタリティ業に進もうという気持ちが固まりました。
これから社会人となるわけですが、今後の展望をお願いします。
私は大学を休学して1年間留学し、まわりの人よりも社会人になるのが遅れましたが、その分、今までの経験を活かした職業に就いて、海外で働きたいと思っています。
ICCのサポートについて感想をお聞かせください。
素晴らしいと思います。出発前の説明会で先輩の話を聞いてイメージがつかめましたし、現地でも常にサポートしていただいて、勉強やインターンに集中できました。現地で参加したロンドンビジネスセミナーでは、企業の方のビジネストークやIBPのOBの方の話が聞けて、とても有意義でした。
最後に、角田さんにとってIBPとは?
私の転機になったプログラムです。IBPの1年間は大学の4年間よりも中身が濃かったし、次のステップにもつながりました。インターン先の人たちやIBPの同期など、出会った人たちからたくさんの学びを得て、自分も大きく成長できたと思います。IBPは誰にでもチャンスを与えてくれるプログラムで、その人次第でさまざまな体験ができます。ぜひ、多くの人に参加してほしいと思います。