エンターテイメント業界で英語を活かして働くためにアメリカで通訳と翻訳を学ぶ
インターン以外に、音楽やイベント関連のボランティアに参加
コロッケさんとの一枚。シアトル、ロサンゼルス公演ともに即完売だったそうです! 面白いステージはもちろんのこと、我々スタッフへも気を遣って下さる本当に優しい方でした
Pacific Placeにてインターン最終日にお世話になった上司との一枚。見ての通り陽気で、シアトルの事なら知らないことはない名物コンシェルジュでした
インターン先、Seattle Pacific Universityにて。このように緑が豊かで自然溢れる場所は、大学内に限らず、シアトルのどこでも見られます。本当に素敵な街でした。
仕事をやめて留学しようと思ったのはなぜですか?
以前は数社のレコード会社を経験し、販売促進や洋楽の仕事などを担当していました。特に洋楽の仕事をしていた際、海外ミュージシャンの来日公演を間近に体験し「もう少し英語ができれば」とやるせない思いに駆られた経験がありました。もともとグローバルな環境で仕事がしたいという将来的な希望もあったことから、5年半勤めた音楽業界をいったん辞め、留学を決意しました。
IBPの中で、ワシントン大学を選んだ理由は?
伝統あるアメリカの大学のアカデミックな雰囲気を間近に感じてみたかったからです。実際、授業後にはレギュラーの学生と同じように大学の図書館などで勉強する機会が持てました。分厚いテキストを真剣に読み込む学生や、熱いディスカッションを繰り広げる学生など、勉強に打ち込む姿を生で見ることができたのはとても刺激になり、よかったと思います。
留学して感じた、日本の学校との違いは?
やはり他国の生徒の発言の多さでしょうか。特に3学期目は欧州の生徒と机を並べる機会があり、彼らの、間違いを恐れず積極的に質問する姿、またきちんと理解するまで質問を繰り返す姿勢などは、日本の授業風景とは明らかに違う点であり、見習うべき点でもあると感じました。
留学中、特に印象に残っている授業はありましたか?
3学期目のビジネスの授業です。毎週ごとに貿易、金融、マーケティングといった具合にビジネスのさまざまなテーマを扱い、専門的な用語も多く苦労しました。私の場合、どのテーマも初めて習う事柄ばかりだったため、まずは日本語のウェブサイトで下調べをし、英語に直していくという二段階作業が必要でした。日本語でも聞き慣れないテーマを英語で聴講するのは大変でしたが、この授業のおかげで、自分からはあえて触れることのない業界の仕組みを知れたのは、とても良い機会だったと思います。
留学中、勉強以外に熱中していたことはありますか?
なるべく多くのボランティアに参加するよう心がけていました。私の場合、前職がエンタテイメント関係であったこともあり、まずは音楽やイベント関係のボランティアになるべく顔を出し、現場の仕組みや専門用語などに触れるようにしていました。毎年夏にBumbershootという野外音楽フェスティバルがあるのですが、そのイベント主催団体のStreet Teamに所属し、各地出没してはビラ撒きなどをして宣伝して回ったのは楽しい思い出ですね。また、インディーズレーベルで、myspaceなどを始めとしたSNSサイトのプロモーションをしたり、あのコロッケさんのシアトル公演時のバックヤードのお手伝いをしたりなど、アメリカのエンターテイメント事情の裏側が少しだけ垣間見れたのは楽しかったです。また、それとは別に、ショッピングモールでコンシェルジュのインターンを約8ヶ月間しました。こちらはさまざまなお客様と会話をすることで、ネイティブの早い喋りやいろいろなアクセントを聞く良い機会になったと思います。
留学前と後で、語学力はどれくらい伸びましたか?
TOEICのスコアで約150点ほど伸びました。実は日本にいた時、毎月のようにTOEICを受けている時期があったのですが、思うように点数が伸びず勉強方法に悩んでいました。しかし今思えば、当時は苦手だったリスニングばかりに力を入れていました。実際、スコアを上げるためには、読む・書く・聞く・話すの4パートをバランスよく勉強することが大切なのだと、留学を通じて改めて実感することができました。
留学中の滞在方法は?
半年間をホームステイ、残りの半年をStudio(キッチンのみシェアのアパート)で過ごしました。ホームステイでは、私以外にも常に3~4人の韓国人、台湾人留学生が一緒に住み、学生寮のような雰囲気で楽しかったです。お互いの国の料理を作り合い、テーブルにトッポギ、肉じゃが、台湾スープなどが一同に並ぶこともありました。レシピを交換したりして、交流が持てました。
インターン先の名前と業態、小塚さんの具体的な仕事内容を教えてください。
A.C.E.(Associates In Cultural Exchange)という、Seattle Pacific University内にある、語学学校および留学エージェント両方を運営するNPO法人でインターンをさせてもらいました。当時、訪れていた交換留学の2組の大学生たちを日本人スタッフとして受け入れ、お世話をするという仕事内容でした。トラブルがあった際は、生徒さんから日本語で相談を受け、それを英語で上司に伝え、双方の意見をまとめた上で問題を解決していくというポジションでした。
インターン体験でどんなスキルが身に付いたと思いますか?
英語でのコミュニケーションスキルは向上したと思います。立場上、日本語の使用も多かったのですが、その分、日本語で聞いた内容を、いかに忠実に適切な英語にして伝えるかということを常に考えさせられる現場でした。トラブルを抱えた生徒さんの心情は、たとえ日本語で聞いて理解できていても、そのニュアンスをそのまま英語で伝えることは難しく、苦労しました。一方で、このインターン体験がきっかけとなり、日英双方の言葉を通じて人のお世話をすることの楽しさ、やりがいを発見できたことにとても感謝しています。
IBP修了から現在までの経緯を教えて下さい。
1年間のIBPプログラムが終わって帰国しましたが、日本で就職をするか、もう少しアメリカで勉強を続けるかに関しては、実はぎりぎりまで決めかねていました。一方で、自分が将来的にやりたい事を長い目で考えた時に、もう少し専門的に英語を勉強する必要があると思い、再度の渡米を決めました。
渡米して専門学校へ通われるそうですね。
以前から日英翻訳に少し興味があり、シアトル滞在中にBCCの翻訳コースを履修したこともありました。一方で、インターン中に経験した通訳の仕事にやりがいを感じ、仕事としてきちんとできるレベルまで引き上げたいという思いも強くなりました。帰国して少し就職活動もしましたが、その中で日本の企業が、社内通訳者に同時に翻訳スキルも求める場合が多いことを知り、通訳・翻訳両方を学べる専門学校に入ることを決めました。
IBPの体験は、小塚さんの価値観やキャリア形成にどのように影響しましたか?
IBPの1年は、私にとって最終的な目標を見つけることの出来た有意義な1年となりました。実は、IBPに参加する時点では、前職の音楽業界から離れようと思っていました。正直なところ、キャリアに悩んでいた時期でもありました。しかし、IBPを通じてさまざまな業界の仲間と出会えたこと、その中で自分の業界を客観的に見つめることができたおかげで、再び同業界に戻りたいと思えるようになりました。このような気持ちの変化のきっかけに、IBPの存在があったことを感謝しています。
同じくインターン先にて、東京家政大学の交換留学生の皆さんと、終了式での一枚。無事に終了証をもらい、嬉しそうな様子が印象的でした
今後の展望を教えてください。
本当に遠い夢ではありますが、やはり、今現在勉強中の通訳・翻訳に関われる仕事に就きたいですね。特に前職の音楽業界に戻り、例えば、来日したミュージシャンのアテンド通訳などとして活躍できたら言うことはないです。ただ、本当に狭き門であり、これからしなければならない勉強も山積みなので、今はひたすら勉強の毎日です。
IBP参加希望者へのメッセージ、アドバイスをお願いします。
もし、少しでも留学に興味があれば、思い切って参加することをお勧めします。たとえ、自分のやりたい事が漠然とした状態で臨んだとしても、1年を通じて何かしら発見ができれば、自分にとって大きな財産になります。IBPでの1年はそれが可能です。また、地方都市ならではのコンパクトな街のメリットを活かし、よりアクティブに行動することも可能だと思います。これから参加される方々も、シアトルを楽しみながら、ぜひ頑張って下さい。
*体験談の内容は寄稿時の情報です。