イスラエル発 身近なテクノロジー
イスラエルにはどんなテクノロジーがあるの?
イスラエルの大学ランキング では、なぜイスラエルの大学が世界大学ランキングのトップに入っているのかを説明しましたが、これらの大学の卒業生は、様々な分野でイスラエルの産業振興に貢献しています。
とはいえ、あまり私たちの生活の中で「イスラエル」の名前を聞くことは少ないですよね。今回は、実は私たちの生活で身近に存在する、イスラエル発のテクノロジーをご紹介したいと思います。
目次
- みなさんお馴染み | iPhone Face ID
- 初めて作ったのはイスラエル | ファイアーウォール
- 社用スマホに入ってるかも | CyberArk
- LINEの草分け | ICQ
- まとめ | イスラエルは新生テクノロジーの宝の山
1. みなさんお馴染み | iPhone Face ID
iPhone Xから搭載されたFaceID。iPhoneユーザーである私も、以前からあったTouch IDで、何かと指操作に慣れていましたが、iPhone XからFace IDが搭載されました。実はこのFace IDを導入したのはイスラエルの企業なんです。Face IDとは、端末に登録されている顔データと赤外線イメージを相互させる機能ですが、この仕組みは、PrimeSenseという「3Dセンシング」という領域で有名な、イスラエルの企業が開発しています。
3Dセンシングとは、対象物の立体的な形状をカメラなど非接触のもので計測することを指し、現在非常に注目されているテクノロジーの一つです。
なぜ3Dセンシング注目されているのか、簡単なイメージを持ってもらう為に、PrimeSense社は「3Dセンシングの世界(World of 3D Sensing)」と題した動画を公表しています。
2013年11月、アップルはPrimeSenseを買収。3年後の2017年11月にFace IDを搭載したiPhoneXを発売していますが、これを見ると、アップルのFace IDはPrimeSenseが開発している技術の一つに過ぎないことが分かると思います。
PrimeSense社は、顔・人物認識にとどまらず、端末に触れずにPCやタブレット端末を操作を可能にする媒体を作ったり、まるでSF映画で見たことがありそうな描写を現実化してくれるような気もします。この会社を傘下に入れたアップルは、今後も様々な新技術を主力商品のiPhoneなどを通して世に送り出すかも知れませんね。
2. 初めて作ったのはイスラエル | ファイアーウォール
ファイアーウォールという言葉、みなさんご存知でしょうか。ファイアーウォールとは、内部ネットワークが外部ネットワークと通信する際に、不正侵入が行われていないかチェックする機能のことで、マルウェアなどのコンピューターウイルスからパソコンを守る防火壁です。今では新しくパソコンを購入したら、自動的に何らかのウイルス対策ソフトが入っているかもしれませんが、ファイアーウォールを入れるとさらに強固なネットワーク接続ができます。そんなファイアーウォールを初めて世界でメジャーにしたのが、イスラエルのCheck Point Software Technologiesです。この会社は、1994年にFireWall-1というソフトを開発し、ファイアーウォールを一躍有名なセキュリティーソフトにしました。しかし、このソフトは機能としては申し分なかったそうですが、価格が大変高く、当時の一般企業が容易に導入できる代物ではなかったようです。その後、後発の安価で性能の良い製品が流通し始めたことで、企業や個人がファイアーウォールを導入するのが一般的になりましたが、その布石を作ったのがイスラエルの企業なのです。
3. 社用スマホに入ってるかも | CyberArk
みなさん、こちらの企業のロゴ、社用携帯のアプリに入っていませんか?
こちらはサイバーセキュリティーのCyber Arkという会社で、企業の特権アカウントを不正アクセスから守る、というサービスを提供しています。サイバー攻撃の特徴として、しばしば一般ID(通常の個人アカウント)ではなく、特権ID(いわゆる管理者アカウント)を狙う傾向があるようで、CyberArkはアカウント管理主を守るためのセキュリティサービスを提供しています。驚くことに、こちらのサービスはFortune100(Fortune誌が毎年発表する米国の上位トップ100の企業リスト)のうち、40以上の企業が利用しているとされており、米国を始めとして現在多くの企業で利用されているサービスです。日本でも数多くの企業が導入しており、東京に日本法人が置かれています。
4. LINEの草分け | ICQ
最後にご紹介したいのが、LINEなどのメッセンジャーアプリの草分け的存在となったICQ。1996年、イスラエルのMirabilis社に開発され、当時多くの人に愛用されたインスタントメッセンジャーアプリです。今では殆どの方がご存知ないかもしれませんが、現在普及しているLINEやメッセンジャーの先駆けとなったソフトウェアなのです。
それまでに、Q-Linkという電子メールサービスやPowWowというチャットソフトが存在していましたが、その利便性からICQは爆発的に世界に広まったとか。しかし、こちらも後続製品に押され、Mirabilis社は1998年アメリカのAOLが買収。2010年にロシアのDigital Sky Technologies(Mail.Ruグループ)に売却されます。現在もサービス自体の稼働はしているようですが、他のメッセージアプリにシェアを奪われ、かつてのユーザー数はほとんど維持していないようです。
こちらは2022年のSNSシェアの世界ランキングですが、トップにはWhatsAppやFacebookのMessenger、WeChatなどがランクインしており、ICQは場外です。ICQはインスタントメッセージの開発には成功したものの、サービスのクオリティーを後続商品と勝負しながら拡大する立役者がいなかったせいか、後発群にどんどん追い越されていったようですね。
ちなみにですが、ICQの通知音がこちら。
アッオーという音で有名な通知音ですが、なんだか懐かしいと思われた方もいるかもしれません。もしかしたら、Twitterの「フィフィ〜」という小鳥の通知音などもここから発想されたのかもしれませんね。
5. まとめ | イスラエルは新生テクノロジーの宝の山
いかがでしたか。
意外にもイスラエルの技術が普段の生活に溢れていることを感じて頂けたでしょうか。
今回はみなさんの身近にあるテクノロジーを中心に、イスラエルの企業・サービスをご紹介しましたが、イスラエルからは新たな革命的アイデアや、既存サービスをさらに強化する商品が生まれたりと、特にテクノロジー分野では宝の山と言えると思いませんか。
イスラエルでは日々新技術の研究が行われており、世界中の企業(特にテック系)がこの開発競争に参加しています。
例えば、1. みなさんお馴染み | iPhone Face ID でご紹介したPrimeSenseという会社ですが、実はアップルの買収以前はMicrosoft社のパートナー企業でした。MicrosoftはPrimeSenseの技術ライセンスの取得をして、身体の動きや音声でコンピューターを操作するMicrosoft Kincetというデバイスを開発しています。この製品は主にXbox 360のゲームコントローラーとして知られており、下記のような動画が公表されています。
現在アップル社の傘下にあるPrimeSenseは、今後アップルの製品を中心に革新的な技術を生み出していくかと思いますが、今後もこうした多国籍企業間のイスラエル技術の争奪戦は続くと思います。まさに、イスラエルはテクノロジーの宝の山、と言えるのではないでしょうか。
参考サイト