よく耳にする「帰国子女」という言葉ですが、明確な定義をご存知でしょうか?
帰国子女として認められるためには、海外に滞在していた理由や滞在期間などいくつかのポイントがあります。

この記事では、文部科学省や総務省が定める定義、辞書における定義、さらに帰国子女の特徴を解説しています。

また、帰国子女の高校生が取れる大学受験の選択肢、帰国子女枠で受験するための条件についても分かりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

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帰国子女の定義とは?

帰国子女という言葉は、文部科学省や総務省での定義、辞書上の定義、入試における定義とでそれぞれに違いがあります。

文部科学省・総務省における帰国子女の定義

文部科学省や総務省では、帰国子女という言葉を「帰国児童生徒」または「海外子女」と表現することが多く、文部科学省が発表した「海外で学ぶ日本の子どもたち」という資料では、帰国児童生徒を以下のように定めています。

「帰国児童生徒」とは、海外勤務者等の子女で、引き続き1年を超える期間海外に在留し、各年度間帰国した児童生徒を言う。

引用:文部科学省(海外で学ぶ日本の子どもたち)

また、総務省統計局では以下のように定めています。

「帰国児童・生徒」とは、海外勤務者等の児童・生徒で、引続き1年を超える期間海外に在留し、前年4月1日から翌年3月31日までの間に帰国した児童・生徒をいいます。

引用:総務省統計局(帰国児童・生徒数及び外国人児童・生徒数)

このことから文部科学省・総務省が定める「帰国子女」は、以下3つの条件があることがわかります。

  • 親の仕事の都合などで海外に滞在していた
  • 継続して1年以上海外に滞在していた
  • 期間は小学生から高校生まで

「親の仕事の都合など」とありますので、子どもが自分の意思で海外留学などをして帰国した場合、帰国子女には当てはまらないことがわかります。

さらに期間は「1年以上滞在していること」が条件となります。
同じ学年の1学期から3学期の間に海外に行って戻ってくるのは、帰国子女には当てはまりません。
日本では2年以上の滞在で帰国子女の認定をしている学校が多いので、「帰国子女枠」を利用したいなら連続して2年以上滞在することがベストでしょう。

辞書における帰国子女の定義

デジタル大辞泉での帰国子女の定義は以下のとおりです。

親の仕事の都合などで長年海外で過ごして帰国した子供。

引用:デジタル大辞泉

辞書の定義上は、海外での滞在期間や子どもの年齢については明確に記されていませんでした。

ただし、親の都合は必ずしも仕事である必要はありません。

男子は帰国子女とは言わないの?

帰国子女という言葉に、なんとなく女子だけを指しているようなイメージを持っている方もいるかもしれませんが、実は男子に使っても問題はありません。「帰国」と「子女」の意味をそれぞれ辞書で調べてみました。

帰国(読み)キコク

1 外国から母国に帰ること。帰朝。

2 故郷に帰ること。帰郷。

引用:デジタル大辞泉

 

子女(読み)シジョ

1 息子と娘。子供。

2 娘。女の子。

引用:デジタル大辞泉

このように、「子女」には「息子と娘」という意味があるため、女子だけを指しているわけではないことがわかります。「帰国子女」は分解すると、「外国から母国に帰った」「息子と娘」という意味ですので、当然男子にも使える言葉です。

帰国子女が受けられる大学受験とは?

大学受験を控えている帰国子女の高校生にとっては、帰国後に日本でどのような受験の選択肢があるのかも気になりますよね。ここでは、帰国子女の高校生が選択できる大学受験の種類を4つご紹介します。

4つのうち3つは帰国子女枠を使う下記の入試方法です。

帰国子女枠

  • 帰国生入試(帰国子女入試)
  • 総合選抜型入試(旧AO入試)
  • 公募推薦入試

さらにもう1つは、日本の高校生と同様に一般枠での受験です。詳しく1つずつ解説します。

帰国生入試(帰国子女入試)

大学入試の場合「帰国生入試」の枠組みで受験をすることが多く、最もオーソドックスで人気のある入試の手段です。

ここで知っておいていただきたいのは、「帰国子女」と「帰国生」は意味が異なるという点です。

  • 帰国子女・・・親の都合で海外の学校に通っていた人
  • 帰国生・・・私費留学などで海外の学校に通っていた人

名称は帰国生入学試験や帰国生特別入試、海外就学経験者(帰国生)入学試験など、大学によって違うため、受験の募集要項で「帰国子女」が当てはまるかしっかりと確認するようにしましょう。

主な選考方法は以下の3つです。

  • 入試成績重視型
  • 現地成績重視型
  • 現地・入試折衷型

【入試成績重視型】

帰国子女枠入試を実施している多くの大学では、入試成績重視型入試を取り入れています。この方法は、それぞれの大学が独自に行う入学試験の成績と海外の高校に在籍していた時の成績にもとづいて合否が決められます。

【現地成績重視型】

出願する際にTOEFLや国家統一試験など成績を証明する書類の提出を求められます。書類選考に合格した後、小論文や面接試験があり、その結果にもとづいて合否が決められます。

【現地・入試折衷型】

海外の高校に在学していた際の成績にもとづいて書類選考を行った後、各大学独自の入学試験が行われます。その結果をどちらも考慮し、合否が決められます。

また、帰国生入試のスケジュールは一般入試と異なります。私立大学の場合には9月ごろから始まり、大半の大学では11月ごろまでに終了します。一方、国公立大学の場合には、「11月から12月」と「2月から3月」の2つの期間に分けて入試が行われます。

総合選抜型入試(旧AO入試)

総合選抜型入試は自己推薦入試とも呼ばれており、高校からの推薦がなくても自己推薦によって受験可能な点が大きな特徴です。2020年度入試まではAO入試(アドミッション・オフィス入試)と呼ばれていました。

試験の内容は、書類選考とあわせて面接や小論文などにより判断されます。留学経験があれば、英語力や資格、海外での経験などは、アピールできる強みになりますね。

帰国生入試は海外での在住年数や帰国後の経過年数が決まっている場合がありますが、総合選抜型入試では期間の縛りがないので、挑戦しやすい入試です。

公募推薦入試

公募推薦入試では、現地で在学していた高校から推薦を受ける必要があります。推薦枠は「公募制一般推薦」と「公募制特別推薦選抜」の2つ存在します。

「公募制一般推薦」は、大学側が定めている条件とどの程度マッチしているかや、評定平均値によって判断されます。
一方「公募制特別推薦選抜」は、文化活動やスポーツなどにおいての活躍がどの程度かによって判断されます。

さらに、小論文や志望理由書、高校側が作成する調査書なども評価の対象となり、提出を求められる書類が多い点が特徴です。そのため、公募推薦入試を考えるのであれば、海外の高校に入学した当初から着実に準備を始める必要があります。

一般入試

一般入試は、帰国子女でも日本の高校生と同様に受験できます。とはいえ、一般入試の内容は、日本の高校のカリキュラムに沿って作られています。海外で日本とは異なるカリキュラムの学習をしてきた帰国子女にとっては、日本の受験勉強に取り組む必要があります

また、一般入試のスケジュールは1月下旬から3月上旬ごろまでです。帰国子女枠で入試を受ける場合とはスケジュールも異なるため、その点も注意してください。

帰国生枠(帰国子女枠)で大学受験するための条件

大学入試において帰国生枠(帰国子女枠)を利用するためには、それぞれの大学によって出願の条件が異なります。詳細な出願の条件は、受験を希望している大学の募集要項を個別に確認してください。

ここでは、よくある帰国生枠(帰国子女枠)の出願条件について解説します。

海外の高校での就学期間が2年以上であること

帰国子女枠で出願する1つ目の条件として、多くの大学では海外の高校での就学期間を、継続して2年以上と定めています。大学によっては1年以上、もしくは3年以上と定めているケースも見受けられます。

海外で1年間在学した後に半年間日本に帰国し、その後さらに1年間海外に滞在したとしても、帰国子女枠で出願できない可能性が高いため注意が必要です。
また、就学期間の条件として「中学から高校までの6年間の中で何年以上在学していたか」が問われるケースも見られます。

自分が希望する大学の就学期間の条件について、募集要項をよく確認しましょう。

日本国籍であること

2つ目の条件は、日本国籍であること、または日本に永住権を持っていることです。このどちらかの条件に当てはまらない場合には、帰国子女枠で出願できない可能性があります。

両親または両親のどちらかが日本国籍でない場合には、注意が必要です。

海外の高校を卒業した、もしくは卒業見込みであること

3つ目の条件として、多くの大学においては海外の高校を卒業した、もしくは卒業見込みであることを定めています。

ほとんどの国公立大学は、海外の高校卒業が必須条件です。一方、私立大学ではこの条件は多少緩和されており、海外の高校を卒業していなくとも、一定期間海外の高校に在学していれば出願できる場合もあります。

とはいえ私立大学でも、最終学年を含めて2年以上継続的に海外の高校に在学していたことが条件であるケースが大半です。

日本の高校での就学期間が1年未満であること

4つ目の条件として、日本の高校での就学期間を1年未満と定めているケースが大半です。

海外の高校を卒業していることが必須条件である大学では、帰国後に日本の高校への編入を認めていません。そのため、帰国後に日本の高校での就学履歴がある場合、出願が認められないケースがほとんどです。

一方私立大学の中には、帰国後に日本の高校での就学履歴がある場合でも出願可能な大学がある程度存在します。ただしその場合でも、日本の高校での就学期間は「1年未満」「1年半未満」「2年未満」などと、制限されているケースが多いため注意しましょう。

高校卒業後2年未満であること

5つ目の条件は、高校卒業後2年未満(大学入学年の4月1日現在)であることです。ほとんどの大学では2年未満が条件ですが、一部の大学では1年未満、または1年半未満と定めているケースもあります。

2年未満の場合、6月に海外の高校を卒業した後、帰国生入試を受けるチャンスを2回得られることになります。

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特別なケースでの帰国子女枠受験

帰国子女の中には「繰り上げ卒業・飛び級」をした方や、「単身残留・単身留学」をした方もいるかもしれません。該当する場合には、帰国子女枠での出願が可能なのかどうかについても解説します。

繰り上げ卒業・飛び級をした場合

海外では繰り上げ卒業や飛び級がめずらしくないため、出願が認められるケースが大半です。ただし、出願は可能でも個別に審査が行われる可能性があります。

審査をする場合によく求められる条件には、大学入学年の3月31日までに18歳に達していることや、繰り上げ卒業によって未履修科目がないかなどがあります。未履修科目がある場合、帰国後の学習の支障となる可能性もあるため、注意が必要です。

なお、日本と海外では学年・学期の開始時期が異なるため、合計12年未満で12年の課程を修了した場合、飛び級には該当しません。

単身残留・単身留学をした場合

単身残留とは、本人が高校を卒業する前に保護者が帰国し、本人のみが海外に残留することを言います。この場合、保護者の海外赴任等に伴うという理由があるため、出願を認められるケースが多い傾向にあります。ただし、事情を審査される可能性も高いため、出願を希望する大学には個別に問い合わせをしたほうが良いでしょう。

単身留学とは、保護者の勤務先の事情等には関係なく、本人が1人で留学をした場合を言います。単身留学の場合、本人の意思によって海外の学校を選んだと解釈されるため、出願を認められない傾向が多くなります。ただし、条件付きでの出願は認めているケースもあるため、こちらも気になる大学には個別に問い合わせましょう。

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