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日本でも浸透しはじめている治験コーディネータという仕事 |
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加藤さんは帰国されたばかりで、現在は就職活動中だそうですね。 |
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A:はい。6月7日に帰国したばかりで、現在は、治験コーディネータの職で面接を受けているところです。 |
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留学前もその仕事をされていたそうですが、治験コーディネータってどんな仕事ですか? |
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A:新しい薬の開発を病院で手伝う仕事です。日本ではまだ新しい職業で、薬剤師や臨床検査技師、看護士さんがやることが多いですね。仕事の形態はさまざまで、病院所属の治験コーディネータもいれば、プロジェクトごとに、出向という形で医師に付いてサポートするスタイルもあります。私の場合は、治験コーディネータを派遣する外資系組織に所属していて、留学前は、沖縄にある新薬開発の施設に週3日通っていました。 |
Q: |
IBP参加を決めたのはキャリアアップのため? |
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A:はい。英語圏で治験コーディネータの仕事がしてみたいと思ったんです。薬学の分野でもグローバリゼーションが進んでいて、留学前に勤めていた会社では、レポートを英語で書くことが求められるような状況だったんですね。国際化を肌で感じていたので、英語力を身につけてキャリアアップしたいと思いました。でも実は私は英語がまったくダメで、渡米する前の2年間で英語を勉強してIBPにのぞんだんです。渡米前に受けたTOEICは500点ちょっとで、留学中に200点以上伸びました。 |
Q: |
アメリカでは病院でインターンをしたそうですね。 |
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A:はい。大きな病院なので、インターンを始めるにあたっては、規約がいろいろあって大変でした。病院では患者さんのカルテを見るので、個人情報に関する契約書をたくさん書いたり、また、感染症がないか調べるために身体検査を受けたりしました。 |
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A:アメリカには治験コーディネータの団体がいくつかあるんですが、そのうちのひとつの会合に出席した時、最初に会った人に「アメリカで働いてみたいが、どうしたらいいか?」と相談したんです。そしたらその人が可能性のある病院の一覧をメールしてくれて、その中から目星をつけて学校にコーディネートをお願いしました。 |
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A:そうですね。新薬開発については国際的にハーモナイゼーションができているので、仕事内容は日本にいた時とほぼ一緒でした。ですので、英語はあまりできなかったんですが、仕事をサポートすることはできました。 |
Q: |
働く環境で、日本とアメリカの違いを感じましたか? |
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A:日本の医療機関では、階層社会がまだ残っていると思うんです。本来は医師と患者さんは対等であるべきですが、現実には違うし、病院と製薬会社の関係も対等ではありません。ところが、アメリカではすべてが対等なんですね。病院のスタッフも、患者さんと同じ目線で仕事をしていて「本当にここは平等なんだな」と実感しました。
あと、インターンをする前に病院から課された試験がありまして、インターネットで「倫理とは何か」という授業を受けたんです。1日中勉強して1週間もかかりましたが、これはとてもいい経験でした。「弱者を守るにはどうしたらいいのか」ということについて、過去の実例に基づいた倫理観を叩き込まれ、本当に勉強になりました。 |
Q: |
今後はどのように仕事をしていきたいとお考えですか? |
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A:アメリカでの貴重な経験を生かして、治験という職種に関わっていきたいです。日本でもこの仕事の重要性が認識されて、厚生労働省などで治験を盛り立てていこうという動きがありますが、倫理教育の方法がまだ確定していないんです。ですので、そういうところに働きかけていきたいですね。具体的には、学会などの場でアメリカではどういう教育がされているかということを発表し、伝えていきたいと考えています。 |
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A:現地コーディネータのカズさんには、本当にお世話になりました。彼からは「英語ができるようになりたかったら、話せなくてもいいから、自分からどんどん外に出て行け」といつも言われていました。いろいろなサポートをしてもらうつもりでいたので、最初は面食らってしまいましたが、そう言われ続けたことで最終的にはいい結果になったと思います。自分から動かなければ何も始まらないですからね。彼にはすごく感謝しています。 |
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帰国直後に結婚したんですが、彼もアメリカの大学院に留学していたので、よく一緒に旅行しました |
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留学中にシアトルマラソンに参加。大会の前は朝暗いうちに走っていたので、ホストマザーが蛍光色のベストをプレゼントしてくれました |
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