スミソニアン博物館の研究チームに参加。
「出来ることは何でもやってみる」をモットーに夢に向かって前進。

参加コース:ニュージーランド高校卒業留学プログラム
留学期間:2001年4月〜2003年12月
留学先:Roncalli College(ニュージーランド・ティマル)

東京都生まれ。高校在学中の2001年4月よりニュージーランド南島ティマルにあるRoncalli Collegeへ留学。同校を卒業後、2004年2月より同じくニュージーランのMassey大学に入学し、動物学(Zoology)と生態学(Ecology)を専攻。タイの環境研究所での爬虫類研究などを経て、現在は日本に帰国し、研究所勤務。

ヘビチームと研究所の隣にあるカオヤイ国立公園へ

研究チームのメンバーで遺跡を見に行ったとき。

サケラート研究所で知り合った京都大学とタイの国立大学・カセサート大学の学生と

研究所にてパイソンの子供を捕獲したとき。ちなみにタイ人の9割は皆ヘビが苦手です。

Q:少し前のことになりますが、最初に高校留学をしようと思ったきっかけは何ですか?

A:漠然とですが、英語を学びたい、文化の違う外国で生活してみたいという夢がありました。最初、両親は留学自体に大反対で、「おまえには無理だ」と言われました。ですが、最終的には自分の希望を聞いてくれて、今度は「どうせ行くなら、目標を達成して来い」と。当初は1年間の予定で留学しましたが、途中で現地の生活が気に入り、日本の高校を退学。最終的には、ニュージーランドの高校を卒業しました。

Q:当時は英語も話せなかったと思いますが、何か思い出に残っているエピソードはありますか?

A:はい、学校の授業もクラブ活動も何もかも英語で、まさにチンプンカンプンでしたね(笑)。それでも、ホームシックはありませんでした。最初は1年間という予定だったので、出来ることは何でもやってみようと思っていました。放課後か何かに外でサッカーをやっている人達がいて、自分もなんとなくやりたくて、その様子を眺めていたことがありました。そうしたら、一人の男の人が近づいてきて、何か話しかけてくれたんです。何を言っているのかさっぱり分からなかったのですが、身振り手振りから想像して、きっと仲間に入れてくれるのだろうと思い、飛び入り参加したことを覚えています。

Q:高校卒業後に、ニュージーランドの大学に進学をしたのですね。

A:自分には小学生の頃から、獣医になりたいという夢がありました。なので、最初は日本の大学の獣医学部を受験したんです。でも結局そこは不合格となってしまい、どうしようか考えている時に高校の先生に、ニュージーランドの大学で動物学を勉強するという方法もあるぞ、とアドバイスをされました。現地での生活は自分に合っていたし、気に入っていたので「そうか、そういう方法もありかもしれない!」とその時初めてニュージーランドに残るという選択肢を考え始めました。
Massey大学に進学し、そこで遅ればせながら初めてのホームシックにかかりました(笑)。最初は大学生活も高校の延長と考えていましたが、勉強などは高校とレベルが全く違うことを実感。「こんなんで大丈夫だろうか?」と落ち込みましたね。でも、そこから立ち直ってからは、ものすごく充実した大学生活を送れたと思います。ニュージーランドの高校は、日本以外からの留学生が沢山来ていますが、大学はそれ以上。本当に色々な国から学生が集まっていて、刺激のある毎日でした。

Q:大学生活の様子は?

A:とにかく勉強がものすごく大変で、勉強漬けの日々でした!1年生の時は、理系学部の学生は基本的に同じ科目を勉強していましたね。僕の場合は、生物学や細胞学、有機化学、それから留学生は英語の授業もありました。そして、二年目からは専門に移行します。植物学、遺伝学、進化学などです。他にもニュージーランドの動植物の生態を勉強したりしました。ポッサムという有袋類の動物の生首を学生一人一人に渡されて、それをきれいに白骨化させるという授業がありました。理系なのでしょうがないですが、皆真っ青になりながら取り組みましたよ。また、昆虫学をとっている学生は、常に虫取り網を持ち歩いていて、珍しい虫がいたら捕まえる!!なんてこともしていましたね(笑)。今思えば、おもしろい光景ですよね。キャンパス内で虫取り網を持っている学生を見つけると「あ、あいつも昆虫学専攻してるんだ」っていう感じです。

Q:ニュージーランドでとても貴重な体験をしたのですね。

A:はい。僕は、高校時代、大学時代と長くニュージーランドで生活をしていたので、ここで大切な友達も沢山できました。高校時代に同じホームステイ先に滞在していたタイ人の留学生がいたのですが、高校卒業とともに疎遠になっていました。でも数年後、偶然Massey大学で再会し、それから彼と仲良くなりました。そんな彼がもうすぐ結婚するんです。留学中に出会った一生涯の友達です。

Q:大学を卒業した後、タイで爬虫類の研究をしていたとか?

A:大学時代の教授に誘われて、アメリカのスミソニアン博物館の研究チームと一緒にタイの自然保護区のようなところで、蛇の研究をしていました。厳重に自然保護を行っているエリアで、一般人は入れないようなジャングルです。そこに生息している蛇にマイクロチップを埋め込んで、生態を調べたりします。時には、真っ暗なジャングルの中に一人用のテントを張って、観察することもありました。一番怖かったのは、キングコブラに遭遇した時です。普通のコブラの何倍も大きく、神経毒があるのでかまれたら助からないと言われています。現地の人でもあまり見ることはなく、僕は本当にたまたまだったのですが、自分の脇を何メートルもある長い身体が通り抜けていった時には、血の気が引きました。タイにいた半年間はとても刺激的で、また研究職の大変さを痛感しました。

Q:就職は日本でされたのですね。

A:実はタイにいる間にタイの国立大学の大学院に来ないかというお誘いがありました。ですが、色々と考えて結局日本に帰ってくることにしました。まずは日本である程度の生活の基盤を作りたいと思ったからです。日本の研究所では、研究者のサポートをする仕事です。世間で求められているだろうもの、事柄を調べて「こんな研究をしてみたらどうでしょうか?」という提案もします。今まで勉強してきたことを色々な面で活用していくことが出来ると思います。

Q:今後の目標は?

A:僕は留学したことで様々な経験をし、視野を広げることが出来たと思います。英語の習得と異文化経験という最初の目標は達成したと思います。高校留学をしていなかったら、今の自分はありませんでした。
今後は研究者の支援をしながらも、いずれは自分も研究者になりたいです。環境保全や動物保護というようなことに興味があるので、何らかの形で貢献出来たら、と思っています。