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010 (2001/08/30)
●龍井(ろんじん)
□産  地:浙江省市西湖周辺
□分  類:緑茶
□味&香り:
 茶葉は炒る時に釜に押しつけられる為、一見茶葉とは思えない程薄く平たい。緑茶の王様と言われるほど有名で高級なこのお茶は、口にした瞬間、うっすらと桃のような甘さを感じるが舌先にはピリッとした苦味がある。「無味の味」と形容される龍井。印象は一言でいうと淡い。が、それでいて王様の風格を感じさせてしまうのは、その「淡い」は強く印象に残る「淡い」なのだ。個人的には料理でも人間でも (?)濃い味が好みなのだが、何故かこの龍井の「淡い」に憧れてしまうのは、上品で控えめながらちゃんと自己主張していて風格がある、物に例えるなら「京野菜」、若手女優で言うと「中山美穂」のような存在?!といったところだろうか。 静寂ながらパワーがみなぎっているお茶である。このお茶はビタミンC、カフェインもたっぷりなので飲むと頭のぼんやりをすっきりさせてくれるので目覚めの1杯に最適。1日爽快に過ごせる。淹れる際のお湯の温度は85度前後で。


□一口メモ:
 名前の由来は、明代の正徳帝の時代に「龍泓泉」という泉の側に井戸を掘った際、龍の形をした石が現れ、その井戸を龍井は名付けられ、その名前がお茶の名前にもなってしまったそうだ。そして清代には乾隆帝がこのお茶を気に入り、献上茶にした事から有名になっていったという。

龍井にはさまざまな名前がつけられている。例えば、龍井の前に「獅峰明前」がついているものがある。それを解説すると、「獅峰」は龍井の中で最も優れている茶畑(茶木が少なく小さな斜面)であり、「明前」は茶葉の最も良い状態(明=清明節《4月5日》 の前の時期)に摘まれた事を意味する。つまり、最高の場所で最高の時期に摘まれた最高のお茶という事になる(ただし獅峰は年に1回だけ収穫するので「明前」以外はない)。地名のランクは他に「西湖」、「杭州」と続く。示す場所が広域になるほどランクが下がるという訳だ。時期は「雨前」、「雨後」と続く。「雨前」は清明節から穀雨節《4月20日》までの時期をいい、「雨後」は穀雨節の後、という事になる。
この茶名のしくみを理解しておくと、茶葉購入の際(龍井以外でも)、まるっきりの素人ではないな、と店員に思わせる事ができる。イコールいいお茶に巡り合う可能性が高くなるという事になるだろう。

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