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009 (2001/07/05)
●鳳凰単叢(ほうおうたんそう)
□産  地:広東省潮州市
□分  類:青茶
□味&香り:
 武夷岩茶の「岩韻」、安渓鉄観音の「音韻」と並んで、その香りや味の余韻を称される鳳凰単叢の「山韻」。茶葉は大きく、歴史を歩んできた力強さを主張している。香りは持続力があり、初めはシロップのような甘さで、少し時間を置くとバタークリームのようなこってりとした甘さに変わってくる。味はまた香りとはガラリと違い、紅茶に似た、発酵させたこうばしさの中に、しっかりとしたライチのフルーティーさを感じる。そして戻り香にもライチの甘味を感じ、口の中、胃の中で南国リゾートを旅する気分になれる。この茶樹が育った環境(1年を通して霧がたちこめる海抜1000メートルの山)には程遠い、ジリジリした太陽のもと、たくさんの人がにぎわう浜辺でフレッシュなフルーツを目の前にしている…。山韻と言われる余韻は私をリゾート気分にいざなってくれた。鳳凰単叢ワールドである。


□一口メモ:
 昔は「宋種」と呼ばれた有名なお茶である。そして、「単叢」の意味は他の樹の茶葉を混ぜずに1株ごとに製茶される、と言うところからもわかるように高級品である。福建省から伝わった水仙種の古樹から茶葉を摘み製茶したもので、このお茶が採れる鳳凰山区では樹齢400年程の大茶樹もあり、歴史も古い。銘茶と言われるものは、大抵そのお茶にまつわる伝説がある。鳳凰単叢も然り。南宋末期に潮州に南下した皇帝一向が咽の渇きを訴え、飲み物を探し回った家臣が、鳳凰山で生い茂る茶樹を見つけ、製茶したところ芳醇な香りがたちこめ、皇帝に差し出すといたく感激し、「宋種」という名前を賜ったという。春・夏・秋・冬茶があり、季節ごとのお茶の深みを感じ取りたい逸品である。

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